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2015年10月13日 (火)

和田はつ子「円朝なぞ解きばなし」(角川春樹事務所)

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 「牡丹灯籠」「真景累ヶ淵」などの怪談の創作者で、怪談話の名人と言われた三遊亭円朝が主人公の時代小説である。円朝といえば明治時代の落語家として知られているが、この物語の円朝はまだ若いころであり、師匠の二代目円生が死んで間のないころの江戸が舞台。

 円朝を慕っていろいろと不思議な事件の話を持ち込む同心を通して円朝が推理し謎を解く、という体裁の、ある種のベッドディテクティブストーリーである。ただ円朝は捜査権などないけれど、実際に動き回ることができるので、多少能動的である。

 三つの短編形式だが、全体で一つの物語を構成している。

 師匠の円生が死んで、残された亡妻と娘を陰ながら世話をしていた円朝は、奇妙な話を聞く。師匠の住処の周辺で円生の幽霊が出没するというのだ。その謎を調べていくうちに殺人事件が発生し、意外な真相が明らかになる。

 これを発端として次々に意外な人間関係や背後に潜む悪が浮かび上がってくるのだが・・・。その人間関係の渦に円朝も巻き込まれていき、ついに重大な決心をすることになる。

 先代の円楽の師匠、六代目の三遊亭円生が私の最も好きな噺家である。CDも三十枚以上持っている。その系譜の円朝についても当然興味がある。「真景累ヶ淵」の全編を持っているのだが、第二巻までしか聴いていない。それからあとのところは怖くて聴けないのだ。

 著者の和田はつ子の小説は、「料理人季蔵捕物控」シリーズの何冊かを読んでいる。手慣れていて楽しめる。今回のこの本も面白く読むことができた。ただ多少話の進展がまだるっこしい気がしたが、ラストのあっと驚く展開のための伏線が仕掛けられていたためであることが、読み終わってわかった。さすがに終わり近くでわたしも真犯人の目星はついたけれど。

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コメント

落語が大好きで 本もかなり持っていますが
これは持っていません
落語は良いですよね

イッペイ様
この本は先月出たばかりの本です。
落語をじっくり聞きたいのてすが、なかなかその気になりません。
音楽のように、聞きながらなにか他のことをすることができないからでしょうか。
それだけイラチなのかも知れません。

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