アクシデント
県道98号線は高山から国道41号線と並行して位山(くらいやま)という山の山裾を走る。位山は飛騨一ノ宮のご神体でもある。モンデウス飛騨位山という道の駅でスキー場のあるあたりまではセンターラインのある快走路だ。そこからしばらく行くと突然道が狭くなる。地図では位山峠という1090メートルの峠を越えれば県道88号線にかわり、そこから国道257号線へまわる道がある。
そのつもりで曲折する山道を走っていると、標識が「この先狭い道、大型車通行不能」とでている。うーん、引き返すべきか。
迷ったが突き進む。狭いのに、ときどき対向車が来る。ほとんどすれ違うのがギリギリだったり、どちらかがバックして譲らないとならない。道はますます狭くなる。しかも落石がところどころにある。もうUターンする場所もない。だんだんドキドキしはじめる。
後悔先に立たず。
急カーブでうっかり落石を踏んで後輪がよれた。がつんと衝撃があった。車体がなにかに当たったのではなく、タイヤがなにかに当たったらしい。少し走ってからやや広い場所で停めてチェックする。左後輪のタイヤの側面がえぐれている。ホイールにも車体にも傷はないから、岩かどか何かがタイヤをえぐったらしい。
この車にはスペアタイヤはない。山中では如何ともしがたい。なんとか山を下りて修理しなければならないがそれまでタイヤが保つかどうか。
最初はほとんど異常なく普通に走ることができた。しかし修理工場がある街までは少なくとも20キロ以上はある。狭い山道を無理をしないようにだましだまし降りていく。ようやく細い道を脱したころ、だんだん後ろから異音が聞こえだした。タイヤが悲鳴を上げているのだ。様子を見ると裂けた口が広がりだしている。パンクではなく完全なバーストだ。
ここから一番近いのは上呂(下呂市)の街で、そこにタイヤセンターがある。そこまで7~8キロである。なんとか行けるだろうか。行くしかないのだけれど。だんだん異音がひどくなる。
ようやく上呂の街に入ったころには異音は激しくなり、ハンドルにも影響が出て来た。それでも走り続けて、目的地のタイヤセンターまであと数百メートルのあたりでタイヤの断末魔の声を聞いた。目の前にちょうどちょっと大きな修理工場があるではないか。
そこへ飛び込んだ。事情を説明。「タイヤ屋までもうちょっとなのにね」と言われる。しかしタイヤの状態を見れば修理工場の人も納得だ。
修理工場の人がタイヤ屋に電話を入れて、状況と必要なタイヤを連絡してくれた。私の車はマツダのアテンザ。マツダの車はタイヤがあまり一般的ではないサイズのものだ。案の定在庫はないという。頼み込んで取り寄せてもらうことにした。夕方には持ってこれるそうだ。助かった。今日中に帰れそうだ。
「代車を貸すから時間をつぶしてきなさい」といわれる。「ここでは時間のつぶしようがないでしょう」と笑っている。ずっといられるのは向こうも迷惑かも知れない。親切を素直に受けて、軽自動車を借り、下呂に散策に行く。
下呂の話は次回。
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こんにちは。
いつも有難うございます。
大変でしたね。運よく修理工場まで着きましたね。
でもこの記事を書いていらっしゃるのでご無事に
帰宅なさって一安心!
代車が借りられ散策がお出来になって良かったです。
投稿: マコママ | 2015年10月25日 (日) 13時15分
マコママ様
本当に動けなくなのと、たどり着くのが間一髪で、運が良かったと思います。
あとから言うのもなんですが、この日は朝からなんとなく胸騒ぎがしていました。
よくないことがありそうな気がしたのです。
でも出かけなければアクシデントがあるかどうかは分かりません。
出かけなければ気のせいで終わりです。
とはいえ自分の予感をこれからは大事にしようと思います。
投稿: OKCHAN | 2015年10月25日 (日) 14時10分