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2015年10月10日 (土)

高口康太「なぜ、習近平は激怒したのか」(祥伝社新書)

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 中国の言論統制がネットにも及んでいるという実態が紹介されている。

 辣椒(ラージャオ)という、中国で風刺漫画を書いていた漫画家が、ついに祖国に住み続けることができなくなって日本で亡命生活を余儀なくされている。表紙の漫画も彼のものである。彼の運命が中国のネットの現状を象徴していることがこの本でよくわかる。

 この本には辣椒の漫画がたくさん取り上げられているのでそれを楽しむことができる。名前の通り、かなり辛口だ。表紙の帯の彼の絵をよく見て欲しい。オバマ大統領、安倍首相と一緒にベッドにいる朴槿恵大統領を隣のベッドから習近平が誘っている。手には札びらが握られている。習近平が後ろ足でベッドの外に蹴り出しているのは核ミサイルをおもちゃのように抱えている金正恩だ。

 言論統制は強権で強引に行うと却って反発を受ける。しかし中国政府の最近の言論統制は巧妙化しているという。それがどういうもので、結果がどうなったのか。

 ネット論壇の中に政府側に立つような論調を忍び込ませ、誘導しているのだ。そもそもネットで身命を賭して政府批判している人は一握りしかいない。ネットが力を持つのはそのネットに扇動される多くの市民がいるからだが、それが微妙に分散させられ、力につながらない状況になっており、しかもそれは今後元に戻ることはあり得ない。

 そもそも中国の、市民運動のように見える集団行動は、ほとんどがきわめて利己的なものである。だから一時的にせよ沈静化させてしまえば、あとは当局の意のままで、沈静化させるために住民に対して行った当局の約束が、なし崩しに無視されているのが実態だ。

 たとえば当局に公平な選挙を認めさせたあの烏坎村の事件も、奪われた村民の土地はいまだに返還されていない。

 習近平が中国をどうしようとしているのか。それは想像以上に前近代的な、時代錯誤的なものらしいことが感じられる。

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コメント

中国も韓国も超身勝手な国ですね。
ユネスコに南京大虐殺の資料を世界記憶遺産に登録したり
慰安婦像を、あちらこちらに建てたりして日本の評価を下げようとしてます。
要するに、言うことを聞いて謝り、金を出せとということらしい・・・・。
恐喝外交です。((笑)

けんこう館様
中国も韓国も、悪の国・日本を倒して国を興した、という神話を原点にしていますから、日本から見ればとんでもない国ですが、それを否定すると自分の国そのものを否定することになってしまいます。
だから仕方がないといえば言えるでしょう。
問題はそれに乗っかる日本の正義の味方の人々や一部メディアでしょう。

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