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2015年10月16日 (金)

多田文明「『絶対ダマされない人』ほどダマされる」(講談社+α新書)

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 著者は詐欺・悪徳商法評論家。そんな肩書きで商売になるのだ。それほど詐欺や悪徳商法がこの世にはびこっているということなのだろう。

 恐ろしい本である。読んでいて寒気がしてくるとともに吐き気がしてきた。もちろんそれは著者のせいではない。そのさまざまな手口がこれでもか、と列記されているのだが、それを読んでいて恐ろしくなったのだ。

 だまされるのはだまされた方にも欲があった、とかスキがあったとかいわれるし、わたしもそう思っていた。確かにそういう点がないとはいえないが、しかしそのスキや欲は普通の人にも普通にある程度のものだということがこの本でわかる。

 だます側のスキルが異常なほど巧妙になっているのだ。準備を周到にして、ターゲットを狙い込み、集団でだましにかかる。一度その網にかかると逃れるのが難しい。心理学に最も詳しく、しかもそれを完璧に利用しているのは、心理学者ではなく彼らかも知れない。

 個人情報を守らなければならないということの意味が、この本で身に沁みてわかった。彼らは入手した個人情報を利用してこちらを罠にかけるのだ。

 わたしはいま固定電話を置いてはいるが、留守電にしていて、普通はかかってきた電話には出ない。仕事をリタイアしてから、勧誘などのわずらわしい電話の多さに辟易してしまったからだ。いったんそんな電話のやりとりをすると、精神が安定するまでに無駄に時間を必要とする。精神の安定のために固定電話には出ないし、電話帳の記載もやめた。

 必要な電話であれば留守電になにがしかの要件が残されるのでそれで良いのだ。友人親類などはすべて携帯でやりとりすることにしている。不在のことが多いことは知人は皆知っているので、不都合はない。

 恐ろしい本であるが、恐ろしいのは詐欺師たちである。その手口や、どれほど世の中にはいろいろな陥穽が口を開けているかを知っておくことはとても大事なことである。著者は被害者からの情報だけでなく、自ら身を挺して詐欺師たちと直面してその体験を綴っているのだ。商売とはいえその勇気に感服する。このような悪人たちの背後にどんなものが潜んでいるのか、知れたものではない。触らぬ神にたたり無しである。

 たたりを避けるためにこの本読むべし。

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コメント

電話・訪問販売など大きな被害にあったことはないですが、
気が弱くてはっきり断れないので、なるべく電話に出ないようにしてます。
私の知り合いに、とても用心深い人がいます。
個人情報が漏れないよう、ネットもクレジットカードも持ってません。
思い込みが激しく、他人の意見は疑ってかかります。
なので、周りは疲れます。(笑)

けんこう館様
わたしも臆病ですから注意していますが、その疑り深い人は、もしかしたら最もダマされやすい人かも知れません。
それが本人にもわかっているから注意しているのでしょうね。

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