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2016年1月23日 (土)

山東民話集から、「宝の山」

 むかし、あるところに星星山(せいせいざん)という山があった。年寄りたちの言い伝えによると、この山には宝物があるという。

 この星星山の麓に一人の百姓がいた。百姓は一畝(1ムー:約6.67アール)ほどの瓜を作っていたが、あおあおとしたその畑には、一面にマクワ瓜や西瓜がごろごろしていた。

 或日、一人のアメリカ人宣教師が西瓜畑のわきを通りかかって、一本の蔓にきわだってあおい、手のひらほどの瓜がなっているのに眼をとめた。宣教師は、長いひげ蔓のついたその瓜を、子細に眺め回してから、瓜を作っている百姓にたのんだ。
「この瓜をもがないでとっておいてくれ。熟れたころになったら、私が取りに来る。代金はおまえの欲しいだけあげることにしよう」

 宣教師が立ち去ったあと、百姓は、この瓜をどうするつもりか見とどけてやろう、と考え、瓜を残しておくことにした。

 秋になると、ほかの瓜は葉が黄色になり、蔓も枯れた。ところが、あの瓜だけは葉も蔓もあおあおとしていて、しかも実が熟れているのであった。
 
 やがて、宣教師がやって来た。瓜を見るととても喜んで、百姓に言った。
「実を言うと、この瓜は山を開くかぎなのだ。山を開くときにこの瓜を持っていてくれたら、手に入れた宝物は山分けにしよう。瓜を地面に落とさないように、くれぐれも気をつけてくれ」
 百姓は、
「承知しました」
 と答えた。

 宣教師は、その瓜を根ごと引き抜き、手に持って山裾の方へと歩いて行った。崖の下へ行き、山に向かって合図すると、ガラガラという音がして山が開いた。

 中には、金の石臼や金の牛があり、金のかたまりに埋もれていた。宣教師は、瓜を百姓の手に持たせると、そこへ飛び込んでいった。

 その瓜を作っていた百姓は、なかなか根性のある男であった。
「アメリカのやつらにわしら中国の宝物を渡してなるものか。こっちの分け前なんぞ欲しくもない。あいつを出られないようにしてやれ」

 そう考えると、百姓は手に持たされていた瓜を地面にたたきつけた。すると、山はたちまちふさがって、宣教師も閉じこめられてしまった。

 それっきり、この山は二度と開くことはなかった。


 山東民話集の話で短いものはこれだけ。その他はずっと長いので、紹介するのはこれまでとする。

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コメント

こんな人ばかりなら中国も良い国になってたことでしょう。

けんこう館様
全くその通りですね。
いつから今のような拝金の国になってしまったのでしょう。

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