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2016年1月28日 (木)

北村稔「『南京事件』の探求」(文春新書)

 本屋の平棚にあったので新刊だと思ったら、2001年に刊行された本であった。よく見れば、帯には「南京事件論争を知るための古典的名著」とあるではないか。

 「探求」とあるように、南京事件についてなるべく予断を持たずに調べられるだけの資料を徹底的に洗い、そこから見えるものについて考察する、という姿勢をとっている。

 「南京事件」について知りたい、と思っている人なら、すでに目を通している人も多いのではないだろうか。私は寡聞にして知らなかった。「南京事件」については、大虐殺説支持派と、大虐殺は捏造だという立場の人、「大虐殺」であげられているような30万人が殺されたなどというのはあまりに荒唐無稽であるが、しかし市民や投降した捕虜の少なからずが殺されたという事実はあっただろう、という中間派に意見が別れる。

 連合国による軍事裁判である「東京裁判」では、南京で多数の市民が殺害された、ということが認定され、そのときの司令官であった松井石根陸軍大将が、その責任を問われて戦犯として処刑されている。

 この本のような、冷静で学術的な資料の調査と比較検証をしたものに基づいたうえで、それぞれの立場の人が話し合える日は来るのだろうか。多分「大虐殺説」の立場の人はこの本を認めようとしないだろう。ただ反論のための反論をするであろうし、中国人と一緒に感情的になるだけだろう。

 この本では「東京裁判」でメイン資料とされたものが、だれによって、どういう意図で作成されたものであるか、それが次第に30万人の市民が計画的に殺された、という話に、どのようにエスカレートしていったかが詳細に検証されているので興味のある人は読んで欲しい。

 原文、中国文、それを訳した日本文を比較しながらそこに意図的な改変がされていることを鋭く指摘していく。これはミステリーの捜査のための資料探査そのものであり、面白いのだが、面白い、と思わないとその詳しい説明が苦痛かもしれない。

 本文から引用する(168ページ)

(前略)裁判官たちは、『スマイス報告』の内容が「三十万大虐殺説」と矛盾することに気が付かなかったのであろうか。いずれにせよ判決書としては杜撰の極みである。

 次に、東京の極東国際軍事裁判で、『スマイス報告』が検討の対象にならなかった理由を考えたい。これは『スマイス報告』の証拠能力の不十分さからではなく、松井石根大将の南京攻撃の総責任者としての管理能力の有無にあったからである。松井石根大将に対する判決文は、以下のように結ばれている。

「彼は自分の軍隊を統制し、南京の不幸な市民を保護する義務をもっていたと共に、その権限をもっていた。この義務の履行を怠ったことについて、彼は犯罪的責任があると認めなければならない」  


 南京以外でも日本軍が侵攻し、都市を占領した時に多数の市民が犠牲になったことがあったであろう。しかしなぜ南京だけがこのように大きく問題視されたのか。これは統制に甘さがあり、強姦、略奪、殺戮が通常よりもだいぶ多かったのではないか。30万が3千人でも同じでことある。

 南京市の、当時の人口が20~25万であり、占領後しばらくして普通の市民生活が再開されたという信憑性のある証言もあるから、30万人が虐殺された、というのは荒唐無稽だけれど、実際に暴行や略奪、捕虜の処刑の目撃証言が少なからずあることも間違いない。南京は当時の中国の首都である。首都が陥落すれば戦争に勝つと思っていた日本軍は、浮かれて一部が暴走したのではないか。そういうときこそ統制をきつくしなければならないのは当然である。

 その責任は問われなければならない。そのことが、日本の国が戦後ここまで非難される理由になったことの責任も重いとわたしは思う。

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コメント

>実際に暴行や略奪、捕虜の処刑の目撃証言が少なからずあることも間違いない。

捕虜の処刑は確かにありますね。

そして略奪の目撃談は多いですが、殺人と強姦の第三者の目撃は少ないですよ。特に殺人の目撃が少ないです。たとえば、当時南京にいたジョン・ラーベが目撃したのは殺人1件、強姦2件だけです。ベイツは強姦は1件も見ていません。全部中国人から聞いたというものです。

調べれば調べるほどこれは捏造だと確信します。

園植様
占領時に一部兵士が暴走することは数多いようです。
南京占領でも同様の事実が皆無だったとは思えません。
ただ、それをとりたてて針小棒大に問題にしたのは、連合国側が太平洋戦争の日本側の人道犯罪を問う材料としたからでしょう。
それが中国の政治的な材料に利用され、白髪三千丈のレトリックで30万人まで膨らんだというところでしょう。
既に二世代三世代にわたって刷り込まれた作られた歴史はなかなか拭うことは出来ません。
これは戦争に負けた国が受ける試練で、その日本では戦争の責任を自ら問うことなしで東京裁判を受け入れました。
まことに口惜しいことですが、訂正することは不可能かもしれません。
そもそも日本人自身の多くが既に中国側の言い分をほとんど受け入れてしまっています。
歴史とはこういうものかと思うと空しい気もしてきます。

間違えました。ラーベの殺人の目撃は0件でした。なんと1件も日本兵の市民に対する殺人を自分の目で見ていないのです。全部中国人から聞いたものです。

ハリウッドでラーベを主人公にした映画が数年前に公開されました。まるで彼が虐殺を見たかのように言われているのですが、実際は1件も殺人を目撃していないのです。

南京大虐殺は本当にうまく作られていて、特定の新聞や写真や証言だけみると、これが本当に起こった事件であるように思えますが、他の証拠と付きあわせてみると、この事件が全く実態がない虚像であることが判ります。

>まことに口惜しいことですが、訂正することは不可能かもしれません。
そもそも日本人自身の多くが既に中国側の言い分をほとんど受け入れてしまっています。
歴史とはこういうものかと思うと空しい気もしてきます。

私はこれを放置しておくことは危険だと思います。下のサイトを見てください。いかに中国人が憎しみを持っているかが分かると思います。


「血の借りは血で返してもらうぞ!」「南京大虐殺の日」記念式典の映像についたコメント
http://hakkou-ichiu.com/post-10991/

しかし、慰安婦問題と同じで、もし日本が南京について謝罪しても終わらないし許してくれないでしょう。むしろ、そこが始まりになるでしょう。

中国の求める友好とは永遠に日本に中国へ謝罪させ続けて、日本の地位を落とし、アジアの覇権を握ることが目的でしょう。
日本と違って中国は現在進行形で他国を侵略している国です。先日はカナダで中国系移民の働きかけで南京大虐殺記念日が制定されました。外堀が埋まりつつあります。

言葉足らずでした。南京は政治的なもので、対日・対アジア外交を有利に進めるための武器にするつもりだということです。

短期的には日本から尖閣諸島を奪うため。
中長期的にはアジアの覇権を握る為、だと私は見ています。

園植様
日本が放置したために、政治的なカードに使われるようになりましたが、根本的には東京裁判を否定しないと南京事件が否定できないジレンマにあります。
東京裁判の否定はアメリカが受け入れないでしょうから、極めて困難なことになっています。
東京裁判の否定は日本が受け入れた戦後体制そのものの否定であると見做されるおそれさえあります。
感情的にも論理的にも否定したいところですが、申し訳ありませんがどうしたら良いのか私には分かりません。

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