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2016年1月15日 (金)

柚月裕子「孤狼の血」(角川書店) と オマケ

Dsc_7698

 警察小説で、本格的なハードボイルドである。

 舞台は広島県呉原市。呉原市は呉市のことだろう。ほかにも実際の地名をもじった場所がたくさん出てくるので、現地に詳しい人にはそれを楽しむこともできるだろう。

 呉原東署の捜査二課、暴力団係に配属された新人刑事、日岡秀一はなにかと噂の多い大上章吾というベテラン班長と組まされる。大上は功績の多さではピカイチでありながら、違法捜査なとでの処罰も多いことで知られる。

 短いプロローグとエピローグを除けば、各章は日岡の捜査ノートの簡潔でわずかな文章に始まり、それを実際の捜査活動を描いていくことで物語が進められていく。そのノートの文章が何行も抹消された形であることの意味が、エピローグで明らかになる。

 日岡と大上の出会い、暴力団係の仕事とはどんなものなのか、およそ警察官としての常識を絶するその事実に、日岡は驚かされる。そしていきなり新人としてその仕事の苛酷さを体験させられる。

 衝撃を受けながら、それにめげず立ち向かう姿に、読んでいる方はだんだん感情移入していくのだ。そして日岡から見える大上という人物のイメージも変わっていく。当然読者には、大上という刑事が次第に魅力的に見えてくる。

 違法すれすれ、というより、違法としか言いようのない捜査を続けているから、やくざからは毛嫌いされ、怨まれている。ところがその大上を、心から惚れ込んだり信頼しているやくざもいる。その筋の通し方にぶれがないのであり、何を是とし、何を非とするか、互いに明確に理解しているのだ。

 ある意味では警察組織よりも、そのような信頼関係は厚い。

 呉原市では二つの暴力団がしのぎを削っている。過去には大きな組織の代理戦争の形で、血で血を洗う抗争もあった。今、その暴力団の金庫番をしていた、表向きはかたぎの男が行方不明となる。物語はその男の行方を追うという捜査から始まる。

 しかしそれがきっかけで、互いの暴力団の小競り合いがエスカレートしていく。そして隠されていた過去の事件の真実が暴かれていき、事態は一触即発の状態になる。

 大上は身体を張ってその戦争を阻止するために奔走し、日岡もそれを補助するのだが、やがて悲劇が起こる。

 著者はペンネーム通りなら女性だが、どうしてこれほど男臭い小説が書けるのだろう。ハードボイルドの本道を行く熱い小説である。一気に読めた。


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こんな感じで本を読み、ブログを書いている。

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コメント

あら

素敵。。。

藤子様
自分でも、ちょっとそう思ったので写真に撮りました。
格好をつけすぎですね。

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