大盤振る舞い
中国の習近平主席がサウジアラビア、エジプト、イラン、イラクなどを歴訪して日本円で4兆円を超える融資や援助を約束、中国が原子力発電所建設やインフラ整備を積極的に行うようだ。
各国がそれを歓迎しているところを見ると、自分の国と中国では、自分の国にあきらかに得なのであろう。ということは当然短期的に見れば中国にとっては持ち出しということになる。気前の良いことである。
もちろんAIIBの展開や、アジアと欧州を陸と海からつなぐという「一帯一路構想」の推進を睨んでいるのだろう。
ところで、中国からの資本流出が昨年一年間だけで、79兆円に上ると報じられた。景気減速や証券市場の混乱を嫌気して、中国からこれだけの資金が引き揚げられた。中国政府はこれを受けて、個人の海外への持ち出し外貨を年間5万ドル以下に制限することになった。また、海外のATMで引き出せる金額の規制をするという。
中国の外貨準備高は3兆3000億ドルという、とてつもない巨額だ。しかしこの外貨準備高が、激減しつつあることは以前にもここで取り上げた。まだまだ残っているはずなのだが、実際にはほんとうにそれだけ残っているのか、疑わしいところもある。
そんな中で、習近平主席はアメリカに行けばアメリカで、ヨーロッパに行けばヨーロッパで、アフリカで、インドネシアで、そして今度は中東で大盤振る舞いをしている。打ち出の小槌でもあるなら別だが、持ち出せば減るだけだ。
いったい習近平の約束した金額の合計はいかほどであろうか。
習近平は甚だしい経済音痴だと噂されている。どんぶり勘定なのである。ほんとうはナンバー2であり、首相である李克強が経済通で、二人セットなら良いのだが、習近平は胡錦濤派の李克強の権限を奪ってしまい、李克強は自分が進めたい経済政策を全く実行に移せないでいる。
今中国が経済立て直しをするなら、国有企業の徹底的な手入れが必要なのだが、習近平は、自分の権力基盤としてそこには手をつけないどころか、以前より庇護する方に動いている。このことは中国の将来に大きな禍根を残すことになるだろう。
参考図書
近藤大介「中国経済『1100兆円』の衝撃」(講談社+α文庫)
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