司馬遼太郎「濃尾参州記(街道をゆく 四十三)」(朝日新聞社)
先日も書いたけれど、私のザル頭はなにを読んでいたのだろう。この本も一度読んだはずなのだけれど、ほとんど初めて読んだような気がする。残念ながらこの本は書き始めて程なく司馬遼太郎が急死してしまい、未完である。桶狭間について書き、その周辺を散策し、次第に名古屋へ至ろうとした矢先である。
もし最後まで書いてくれていれば、それを元にどれだけ名古屋とその周辺を歩き回る楽しみが増えたことだろうと思うと、残念でならない。それにしてもなぜ「濃尾参州記」がこんなに後回しにされたのだろうか。
それは司馬遼太郎に聞かなければ分からないのだが、実は書きたいことがあまりに多すぎて、それをまとめるためにじっくりと時間をかけたのではないか。彼のなかで織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に代表されるこの地区の武士たちの重みがあまりにも大きかったのではないか。
「国盗り物語」を始め、司馬遼太郎がこの地区の英雄たちに深い思い入れがあることは間違いないと思うのだ。斎藤道三や明智光秀など、美濃についても書きたいことが山ほどあったはずだ。残念だ。
とりあえずこの本に言及されている場所だけでも一度訪ねてみたいと思っている。
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