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2016年2月25日 (木)

森本哲郎「続 生き方の研究」(新潮選書)

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 この人の文章に出会ったことで、自分の人生観が激変した。初めて出会ったのは高校生くらいの時の朝日新聞の日曜版である。こんなものの見方、世界観があるのか、と目が覚める思いがした。記名の記事だったから、名前は覚えていたけれど、朝日新聞の記者だから、本が出ているなどとは知らなかった。

 次の出会いは偶然書店で手にした本だった。会社に入ってまもなく仕事に行き詰まり、自分に自信がなくなって沈んでいたとき「生きがいへの旅」というその本を見たときに、「森本哲郎」という著者名を見て、あの文章の人だ、とすぐ分かった。

 その本は私に新しい世界を見る目をくれた。ああ、世界はこうなっているのか、と教えてくれた。もちろん本には直接そんなことは書いていない。ベトナム戦争のさなかのベトナムの人たちと、北欧の高福祉の老人の生活をくらべてみたり、フランスの哲学者が、中国の書物に書かれた分類の、理解不能な奇妙さを取り上げて、しかしその理解不能であることにこそ文化というものの違いそのものではないか、と語った、と記していたりする。

 漱石が語られ、蕪村が語られる。私にはその本が宝石箱の中のようにきらびやかに感じられた。

 時代はまさにニューサイエンスからスーパーサイエンスへ、そしてオカルト、新興宗教へと時代のムードが流れていた。オウム真理教などが擡頭したのはまさにこの時代である。私もいろいろと関連する本を読んだ。もしかしたら森本哲郎師の本に出会わなければ、オウムに・・・、ということはないと思うけれど、分からない。

 この「続 生き方の研究」は初めて読んだ。「生き方の研究」同様、日本ダイナースクラブの月刊誌「SIGNATURE」に連載されたものだ。しばらく前に「生き方の研究」を再読し、一緒に買ってあって未読のこの本を読んだ。

 あらためて森本哲郎師の文章が私に合っていることを実感した。なんの抵抗もなくするするとこちらの心に入ってくる。分かる、ということが一段高い意味で分かる。あとで内容について二、三取り上げてみようと付箋をつけてある。

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