スパゲッティの木
イギリスで実際に放映されたというニュース。
先ずイタリー北部の荒涼たる風景が映し出される。沈鬱な音楽が流れ、アナウンサーも沈んだ暗い声でいう。
「今年はスパゲッティ栽培者たちにとっては悪い年であった。異常な寒さと、長期に亙る雨によってスパゲティの木々は開花期に壊滅的な打撃を蒙ったのである」
解説につれてカメラはスパゲッティの木々の間を移動していく。木のところどころにはスパゲッティが房のように垂れている。年老いたイタリーの農夫が木を見上げている。
「1907年以来といわれる凶作の今年。わずかに実ったスパゲッティの木を見上げる農民たちの表情は暗い」
何しろスパゲッティが、そのまま木にふさふさと生えているという光景というのはよほど奇想天外であったに相違なく、この番組は大評判であった。
もちろんこれは大嘘で、エイプリルフールの番組である。イギリスではころりとダマされた人が大勢いたらしい。
こんな面白い噺がたくさん挿入されているのが昨日紹介した、伊丹十三の「女たちよ!」という本である。
« 危うく・・・ | トップページ | 勇気を持った人の話 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『パイプのけむり』(2024.09.13)
- 戦争に当てる光(2024.09.06)
- ことばと文字(2024.09.05)
- 気持ちに波風が立つような(2024.09.02)
- 致命的欠陥(2024.09.01)
もしかして・・・私の見た・・スパゲッティの鍾乳石がヒントかも・・と・ちょっと嬉しいブログ記事でした。
投稿: かすみ風子 | 2016年2月 3日 (水) 17時26分
かすみ風子様
もちろん連想しました。
洞窟の写真は難しいですね。
投稿: OKCHAN | 2016年2月 3日 (水) 18時06分
こんにちは。
このニュースは今YouTubeでみられます。
「BBC: Spaghetti-Harvest in Ticino」
BBCはいろいろやりましたね。最近では空飛ぶペンギンとか。
その昔はビッグベンをデジタル化するので、不要になる時計の針を希望者にプレゼントする、というのに日本人が引っかかったとか。
伊丹十三さんはよく読みました。
投稿: マイマイ | 2016年2月 4日 (木) 12時21分
マイマイ様
私も昔は愛読していて、スパゲッティの茹で方など大いに勉強になりました。
久しぶりの再会です。
こういう本がお好きだということは、マイマイさんはすてきな女性であろうと拝察いたします。
投稿: OKCHAN | 2016年2月 4日 (木) 12時29分