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2016年2月 6日 (土)

米澤穂信「王とサーカス」(東京創元社)

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 間口を拡げると収拾がつかなくなる。それが分かっているのに、つい面白そうだと新しい作家の本の新刊に手を出してしまう。

 米澤穂信という人には以前にも気になる本(「インシテミル」、「折れた竜骨」など)があったけれど、手を出さずに我慢していたが、いまミステリーづいているので、我慢しきれなかったのだ。

 予感どおり、とても面白い本であった。舞台はネパールの首都カトマンズ。主人公の雑誌記者の女性が、カトマンズの紀行文をものしようとカトマンズを訪ねたときに、大きな事件が起こる。

 ネパールの国王をはじめとする親族が王宮で殺害されてしまうのだ。これは実際に起こった事件だが、それをベースにしている。主人公の大刀洗万智は、その事件の取材を進めるうちに、あらたな殺人事件に巻き込まれていく。

 事件の展開が始まるまえに、カトマンズの街の様子がゆったりと描かれているのだが、それがちっともまだるっこしくなくて、次第に自分がカトマンズにいるような気分になってくる。

 ラストで事件の真相を知った主人公が、二転し、三転する思いを感じる部分は強烈である。ネパールの人の、よそ者に対する感情を生で思い知らされるのだ。これはネパールだけではない。異国を(特に貧しい異国を)深く知れば、必ずこのような経験をすることになる。この部分だけでもこの本を読んだ価値がある。

 これでは米澤穂信(ちなみにこの人は男性らしい)の作品をまた探して読みたくなるではないか。

 余談だが、学生時代に「カトマンズの恋人」という映画を観たことがある。ヒッピー風の西洋人の若い男女が、マリファナかなにかでふらふらしながら(そのころ、ネパールは大麻が比較的に自由に手に入った。いまも普通の国より規制は甘いようだ。)、カトマンズを幻視している。女性が死にかけているのを後ろに乗せて、バイクかスクーターでただただ走り回ったりする。そんな記憶しかない映画なのだが不思議に忘れられない映画だ。抜けるような濃い青空が特に印象に残っている。

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コメント

おはようございます
先日は私のブログを見ていただきありがとうございます。
日中間・日韓間の関係は没交渉で良いという方もいらっしゃるでしょうが、
一部の人がおっしゃるように日韓・日中断交だ。という意見には組みできません。
やはり歴史に学んでこれらの関係を真面目に考えることが必要なのでしょう。
では、
shinzei拝

shinzei様
おっしゃるように、関係が存在するかぎり、断交などは論外でしょう。
話せば分かる、などと安易に考えず、互いの違いを見極めて、困難な隘路をたどるしか方法はないのでしょう。

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