乱れまなこの勝手読み(32)
中国で最大、そして世界で最大といわれる銀行は、中国工商銀行である。スペイン・マドリードにある中国工商銀行マドリード支店にスペイン警察の捜査の手が入り、支店長以下数人が逮捕拘引された。巨額のマネーロンダリングを行っていた、という容疑がかけられているという。中国ならば、いかにもありそうなことだとつい納得してしまう。国家的な背景があるのか、中国工商銀行独自のものなのか、今のところ明らかではない。明らかになるとも思えない。
中国ではアングラマネーや政府高官達の巨額の汚い金が、その隠し所を求めていることであろうから、おそらくそういう金を合法的なものにする魔法をかけていたのであろう。
これがスペインで暴露された、ということの意味はどこにあるのか。中国政府が情報をリークしたのか、それとも欧米、勘ぐればCIAあたりがそれを暴いたのか。失礼ながら、スペイン単独でこのような成果が揚げられるとは思えないのだ。しかもスペインである。これは、より巨額なものをこれから暴露するぞ、というなにかの脅しの意味があるような気がするが、考えすぎか?
中国の中央銀行(日本の日銀にあたる)である中国人民銀行が、火曜日と木曜日に限定していた定例公開市場操作を毎営業日に変更する、と発表した。金融不安回避のための措置を迅速にするためだそうである。つまり定例公開市場操作ではなく、常時公開操作となるわけで、つねに中国の株価は中央銀行が操作することを公言したわけである。緊急時に行うべきことをつねに行うというのは、自由市場とは決して言えない。
中国で株で利益を上げている主な人種は、この株価操作がいつどのように行われるのか事前に情報を持っている人だけ、といわれる。それはそうだろう。
中国の王毅外相が、韓国に対して、六カ国協議に先立ち、北朝鮮をテーブルに着けるために、「朝鮮半島の非核化」と「朝鮮戦争の休戦協定から平和協定への転換」を提案した。韓国は、非核化を優先するとして提案に反対した。
朝鮮戦争が硬直状態になり、休戦協定を結んで戦争は停止している。ただし休戦協定であるから、それを破棄すれば宣戦布告せずに開戦することができる状態なのだろう。実際北朝鮮は昨年だったか、休戦協定は破棄状態だ、という脅しのことばをとなえていた。
ところでその休戦協定は連合国軍と北朝鮮との間の協定なのか、中国も加わっていたのかはっきりしなかったので、Wikipediaで見てみたら、中国も報徳懐(建国の功労者だが、後に毛沢東の大躍進政策を批判し、失脚する。彼の粛清が文化大革命の血祭りの始まりであった)が休戦協定に署名しているようだ。中国は義勇軍として北朝鮮に肩入れした、という建前だったが、ある時期からは北朝鮮軍よりも中国人民軍のほうが多数の兵力で、しかも戦死者も一番多かったはずだ。最終的に中国人民軍が受け入れなければ休戦協定は結べなかっただろうから、その休戦協定に中国の代表が署名するのは当然だろう。
ということは、韓国と北朝鮮の間だけではなく、韓国と中国も休戦状態のまま、ということだろうか。えーっ、そうするとそういう関係の相手国の国威発揚の軍事パレードに参加する朴槿恵大統領とは、どんな感覚の持ち主なのだろう。無節操というべきである。
もともと休戦協定を平和協定、平和条約へ、という要望は、北朝鮮がアメリカに対して強く求めているもので、それを王毅外相が代弁したに過ぎない。韓国が受け入れるはずがない。王毅外相という人、いかにも紳士然とした端正な顔をしているが、だんだんその顔が陰険な歪んだ顔に見えてきている。もちろんわたしの偏見である(のだろう)。
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こんにちは
今日は私の拙いブログを読んでいただきありがとうございます。
私はかつて中国について「アメリカ中心の価値観を是正し、アジア中心の新時代の価値観を作ってくれる」
と勝手に期待していましたが、そのような期待は簡単に崩壊してしまいました。
結局中国とて西洋が作った土俵の上で「どうだ俺はすごいのだぞ」と言っているにすぎません。
そんな国に淡い期待をした私も、媚中派と言われる連中とどのくらい違っていたのか?と
真摯に反省して中国という国を警戒しながら見ていこうと思っています。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2016年2月19日 (金) 14時40分
shinzei様
shinzeiさんが韓国に思い入れがあるように(とても及びませんが)私も中国に思い入れがあります。
だから中国が好きで興味があるぶんだけ、いまの中国が大嫌いでもあります。
時間と金があれば中国各地を訪ねたい気持ちがありながら、いまは行く気がしません(金もあまりありませんし)。
いまは中華人民共和国である中国の体制破綻を、この目で見れるかもしれない、と密かに期待しているというのが正直な気持ちです。
そのことで多くの人が困難に陥ることは分かっているのですが・・・。
投稿: OKCHAN | 2016年2月19日 (金) 15時21分