森本哲郎「日本語 根ほり葉ほり」(新潮社)
森本哲郎は私の人生観を構成している一人。著書を何度も読み返している。この本はしばらく前に読んだ「日本語 表と裏」の続編にあたる。
日本語に特有のことば、言い回しを取り上げて、その独自性を明らかにし、そしてそこに日本人の思考様式や文化を見ようという本だ。あたり前に使っていることばが実はよくよく考えると不思議なことばであったりする。
「けじめ」「そこを何とか・・・」という、そことはなにか、なんとかとはなにか、「べつに」、「その辺のところ」、「前向きに善処する」、「きたない」、「人間」、「手心」、「なーんちゃって」、「カンケイナイ」、「根ほり葉ほり」等々。
これらをとことん解析していくと、けっこう日本人自身が見えてくるし、哲学的な考察になっていくから面白い。考えるネタはどこにでもあるものだ。
森本哲郎は母と同い年、1925年生まれで母より一年前の一昨年に亡くなっている。私の人生観をレベルアップするきっかけをくれたのが、この人の「生きがいへの旅」という本であった。いまでも私の宝物である。知っている、ということの意味を教えてもらった。そして自分と他人は違うということも教えてもらった。
精神的に隘路にはまると森本哲郎を読み直す。
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