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2016年2月16日 (火)

東海林さだお・椎名誠「シーナとショージの発奮忘食対談」(文春文庫)

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 ひところ「食」や「酒」に関する本を書店で見つけると、購入して楽しんでいた。料理の本あり、食通の本あり、肴と魚の本あり、ゲテモノ食の話ありだが、もちろん高い本などは買わない。そんな本ばかりを整理してみたら、文庫本だけで五十冊を超えている。トイレや寝床で読むのにまことに手頃で良い。

 さっそく読了したのがこの本である。

 食べものについて自分の人生観を投影させる二人である。そのこだわりはユーモラスであるけれど、ふざけているわけではなく、二人は決して譲れない厳然たるものを持っている。そしてそのことに私もほとんど共感してしまう。

 ところでこの中の「魚介月旦」は、読んでいて思わず声を出して笑ってしまった(もちろんほかもすべて楽しい)。月旦、というのは字だけでいえば月の初めの日、ということだが、正しくは人物評という意味である。古代中国では人物評価が非常に重要であり、その批評名人が月の初めにその批評会をしたことから来ている。たぶん名人は密かな情報網を持っていたのだろう。

 「魚介月旦」では、人物ではなく、魚介を擬人化して批評していく、という趣向なのだ。二人のセンスが抜群なことが読んでいてよく分かる。イカが色っぽく横座りしているところなどが想像されておもわず笑ってしまうのだ。どうしてなのかは読んでみて欲しい。

 しかもその月旦が延々と続けられる。二人とも興が乗ると果てしがないのだ。このエネルギーにも感心する。こんな風に遊べる相手がいたら、酒が楽しいだろうなあ、とこころから思う。 

 こんな変わった食べものの話も楽しいですよ。

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