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2016年2月 4日 (木)

シンクロする

 先日、千葉の実家へいったとき、司馬遼太郎の「街道をゆく」の第39巻から43巻までの5巻を持ち帰った。後ろから読み直してみよう、というのだ。シリーズや全集は最初の巻ほど力が入った読み方をするものだ。だから後ろから読み直すと、意外に見落としが多くてそれがかえって面白い。

 ましてやこのシリーズの最終巻、絶筆で未完となった43巻は「濃尾参州記」は私の住む愛知とその周辺が取り上げられているのだから地名にも親しみがある。

 初めて名古屋に転勤して来た30年あまり前には、山岡荘八の「徳川家康」に出てくる地名がそこら中にあることに感激したことを思い出す。

 その「濃尾参州記」を読んでいたら、眼科の馬島慶直氏の話が語られていた。馬島家は代々眼科の医師で、初代は足利時代、足利義満の頃に遡るという名家だという。いま、馬島慶直氏は桶狭間の戦いの場所に建てられている、藤田保健衛生大学の教授である。

 実は先日読んだばかりの、曽野綾子の「人は怖くて嘘をつく」のなかの「この両眼は三十三年間よく使わせて頂きました」という項(131ページ)に、この馬島慶直氏が登場する。失明する危機にいた曽野綾子の目を奇跡的に救ったのが、この馬島氏なのだ。

 このてんまつは曽野綾子の「贈られた眼の記録」で詳しく語られている。読み進むと、「街道をゆく」のなかにもそのことが取り上げられていた。

 名古屋地区は、むかしから医学が盛んで、特に眼科は優れているといわれる。このことも「街道をゆく」で言及されている。
 実は私の母も名古屋で白内障の手術をした。
私の母も幼児の時からの強度の近視で、裸眼で0.1すら見えなかった。それが白内障でさらに見えにくくなったので、私が勧めて、名古屋大の医学部から医師が派遣されて手術をしてくれるという、近くの病院での手術を勧めたのだ。

 片目は1.0、もう片方はやや手遅れで0.4ながら、過去に見たことのないクリアな世界を母は体験することができた。ただ、見えすぎ疲れる、などとぜいたくな不満を盛んに口にはしていたけれど。

 なんだかそんなことが全部シンクロして頭を駆け巡った。

 こんなことも続けて読まなければ断片的なことで終わっていたのだろう。ユングのいう集合的無意識に通じる、偶然を超えたものを感じた。

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コメント

こんにちは
今日は私の拙い考察を読んでいただきありがとうございます。
確かにあの戦争の敗北が皮肉にも日本の軍国主義を滅ぼしたのは事実だと思います。
しかし、治療しきれなかったがん細胞よろしくまだまだ軍国主義的な要素は日本に残っていると思います。
逆説的に言えば「憲法第9条を守れ」と連呼する人々にある種の危険を感じます。なぜなら彼ら彼女たちは
戦争中に「大和魂で戦に勝とう」と連呼した人々と思考回路がそっくりだからです。
あと安部総理に関しては昔の軍国主義者の定義を考えれば軍国主義者ではないと思います。何故なら彼自身戦争を目的にしていないからです。
では、長々としたお話おゆるしください。
 shinzei拝

shinzei様
平和のために戦おう、と連呼する人たちに、戦時中の「お国のため」といってパーマの髪を切り、もんぺを強要した国防婦人会と同じものを感じます。
おっしゃるように思考回路がそっくりなのでしょう。
自分で考えるのが苦手なのでしょう。
自分で考えていると錯覚はしていますが。

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