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2016年4月26日 (火)

魚谷常吉(平野雅章編)「味覚法楽」(中公文庫)

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 著者は茶人で、大正から昭和の初め、神戸で料亭「西魚善」を営む。昭和15年、和歌山県に転居して出家、僧籍に入る。昭和39年入寂。

 若い大学生たちに食の蘊蓄を尋ねられ、問わず語りに語ったものを、昭和11年集めて本にした。それを平野雅章(先般紹介した北大路魯山人の「魯山人味道」の編集も彼)が編集し、昭和56年に出版、さらに1991年に文庫化。

 食について書かれているが、茶人としての視点で食材や料理が語られているので、一般の料理蘊蓄本とはずいぶん違う。多少狷介な人であったのだろうか、ときに決めつけをするきらいがある。

 料亭を営んでいたくらいだから、その味覚に対する感性は鋭いが、日本料理にこだわる(こだわりすぎる)点は、わたしのような鯨飲鯨食(by魯山人)で雑食派にとっていささかうるさい。また、語られた時代も現代と違うので、その食材の世界がやや狭いような気がする。

 わずかな味の違いにこだわる繊細さが、美学と受け取れるか、スノッブと感じるか、微妙なところだ。ピアニッシモを聴き分けながらフォルテッシモを聞くことにも耐えられるのがわたしは食通だと思うが、著者はフォルテッシモは論外というだろう。

 編者のあとがきによれば、著者は最後に務めた寺で金銭的なことで檀家との諍いがあり、体調不良もあって覚悟の自死をしたようだ。

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