世界統一を夢見たこともあった
朝のニュースで、香港で熊本へ観光に行ったことのある人たちなどが、熊本地震で被災した人たちに対してエールを送る集まりをしたことが紹介されていた。インタビューを受けた女性が「日本大好き」と中国語で言ったあと、「頑張ってください」と日本語でにっこり語りかけた。それは嬉しい光景だった。
アンケート調査によれば、日本では中国に好感を持てないという人が、韓国に対してより以上に多いという。しかしその韓国で、テレビの前でにこやかに「日本大好き」と公言出来る人がいるだろうか。心の中でそう思っていても、「親日」は「売国奴、非国民」とみなされて、罵声を浴びるおそれがあるから口に出せないだろう。不幸な国である。
中国や韓国は、自国民の団結力を高めたり、不満を逸らすために反日教育を行ってきた(公然たる事実なのに、そんなことはない、という消息通もいるのは不思議なことだ。反日教育を受けても反日にはならない人がいるというだけのことであって、反日が思考の根底にしみこんだ人が多いことを否定出来ないのではないか。過去の歴史を知らない若い人のほうに反日が多い事実がそれを示している)。それでなくても隣国と不仲になることが多いのは、よく知られた事実だ。それなのに国家が意図的にそれをあおって来たのだ。
日本人が反中国、反韓国になってきたのは、国家がそのように仕向けたのではない。マスコミが報道する韓国や中国の反日を、繰り返し見せられ続けたことの結果によるものだろう。
それは、過去行ってきた日本の侵略や植民地支配が原因だと、某田嶋陽子女史などは言うだろう。確かに現代中国の建国の歴史、共産党支配の正当性は、日本を敗戦に追い込んだことに置いている。実際には日本と戦ったのは蒋介石の率いる国民党であって、共産党は常にその後ろ側に潜んでいたに過ぎなかったことは、この際置いておく。
しかし、では中国を侵略した列強について、中国は反イギリス、反フランスなどの教育をしているか。ドイツがヨーロッパを戦渦に巻き込んだからといって、フランスなどの周辺国がいつまでも過去の歴史をたてに反ドイツ教育などしているか。アフリカの国々やインドがもとの宗主国に対していつまでもその歴史にこだわっているか。
若いとき、というより中学生、高校生であったとき、国家というくくりそのものが国家同士の争いの原因ではないか、などと考えた。だから世界が全体で一つの国家になってしまえば、国家の争いなどなくなるのではないかと素朴に考え、素直に国連の役割が増大してそのような世界統一へ進むことを夢見たりした。
しかし東西冷戦時代の現実の世界は、そのような夢をうちくだいた。
EU統合などはある意味ではそういう理想を目指したものと考えたい。繰り返し起きた戦禍に倦み、国というしきりが戦火の原因だという思いから、実際には経済規模を大きくすることが得だということが推進のエネルギーであろうが、その国のしきりを少しでも取り払おう、という意識もあったと思いたい。そのEUからイギリスは抜ける意思を示す可能性が出て来たことはどういうことか。
中国は同じような夢を見ているつもりなのかも知れない。自分が盟主となって東アジアを統合するつもりかも知れない。それに朴槿恵大統領は賛同したのかも知れない。しかし習近平が目指す東アジアの統合体は、ただの中国の覇権主義的行動の言い換えに過ぎないことを露呈させてしまった。しかしそのことにいまだに習近平は気が付いていない。邪魔をしているのはアメリカや日本だと本気で思っているらしい。他国がどう自分を見ているのか認識することができない習近平は、その点では愚かな人ではないか。
世界統一という夢が、万が一果たされたとしても、今度は地域紛争という形の争いが起こるだけだという、悲観的見方もあり得るだろう。
ただ、いまあちこちで起きている民族紛争が、国家というしきりをなくすことでずいぶん減るのではないか、という気はする。
朝のニュースの一コマをきっかけに書きながら考えたので、まとまらず、申し訳ない。
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反日教育をしても中国人は、そもそも国家を信用してない。韓国人はそこそこ信用しているということの違いのような気もします。
中途半端な民主主義国家の韓国は、よけいにひずみが大きいかもしれません。
投稿: けんこう館 | 2016年4月30日 (土) 09時31分
けんこう館様
確かにその違いかも知れませんね。
どちらが健康(!)なのでしょうか?
韓国がそのひずみから脱する日は来るのでしょうか。
投稿: OKCHAN | 2016年4月30日 (土) 11時22分