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2016年4月 7日 (木)

梅谷薫「ゆがんだ正義感で他人を支配しようとする人」(講談社+α新書)

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 表題に挙げられているような人の標的となり、この本に挙げられたような事態に遭遇したらと思うと本当に怖ろしい。実際にはこの本にあるほど極端ではないけれど、しばしばこのような加害者とよく似た人に出会うのが人間社会である。

 それを嫌い、そこから逃避するには人里離れたところで自活をするしかない。それが出来ないのであれば、出来る範囲で折り合い、あまりにも異常な場合は逃げ出せば良い。 

 ただ、相手がおかしい、と決めつけている自分こそおかしい、と人に見られているかも知れないから、なかなか難しい。自分のことは自分では分からないものだ。

 私は、しばしば正義を標榜する人を毛嫌いする。しかし当たり前だが正義を嫌い、悪を認めているわけではない。その正義の普遍性を疑っているだけだ。そもそも正義が絶対的なものであるはずがないので、時代により、社会状況により、その判別は大きく振れる。とはいえこれは「ほぼ」正しい、という正義がないと何を基準にしていいか分からなくなってしまう。それが倫理というものだろうか。

 自分の正義を相対化することがまったく出来ないで、自分が正しいのだから、相手は悪である、という決めつけこそ私の最も嫌いな「正義」である。だからそのような正義を旗印にする人たちにとっては、悪のレッテルを貼った安倍政権を攻撃非難することは正義の行動らしい。これでは中世の魔女裁判や異端審問みたいではないか。習近平とどう違うというのだ。安倍政権が、だから正しい、などと私はいっているわけではない。それではお互い様である。誤解しないで欲しい。

 怖いもの見たさで、ちょっとゆがんだ人たちの話を読む楽しみをこの本は教えてくれる。ああ、あの人みたいだ、などと心当たりのある人は著者のアドバイスを参考にされたらよろしいであろう。多少は精神的なストレスの解消につながるかも知れない。

 なんだか世の中にこういうおかしな人が増えているような気がする。それこそ朝日新聞を典型とする、弱者や被害者は正義である、というマスコミなどによって醸成された社会の風潮だろうか。

 だからみんな、自分が被害者だ、と訴える。世の中被害者とクレーマーだらけだ。三波春夫の「お客様は神様です」のことばが社会に及ぼした害毒は計り知れない。こうして被害者だらけになったために、本当に救済しなければならない弱者がなおざりにされ、犠牲になって初めてマスコミの話題になる。そんなことだらけだ。

 曽野綾子がしばしばそのようなマスコミや進歩的(!)文化人に罵倒を浴びるのは、彼女が、もう少し人それぞれが強くなり、自立しなければならない、と云うからであろう。彼女はアフリカをはじめ、世界の最下層の世界での人間の生活を見ているから、これほど豊かで恵まれた暮らしをしながら「私は被害者である」と訴える自称弱者に対して、世界を見なさい、と訴えているだけである。

 世界の貧しい人々が豊かになるほど、日本の豊かさは相対的に低下していくことは(たぶん)間違いない。アメリカやEUだってそうなっていくのは当たり前のことだ。

 これを取り上げて政府の経済政策の失敗だ、と喚く民進党など野党の人々は、世界の富が日本に集まって日本が豊かだったあの夢の時代を夢見ているのだろうか。彼らこそ、いまは豊かさよりも大事なものがある、と日本国民に価値観の転換を訴えるべきではないのか。それこそが革新ではないのか。どう見ても保守以上に保守的な主張に終始している彼らには存在意味がないと思っている。

 どうも書いているうちに本の話から大きく外れてきたようだ。しかし「ゆがんだ正義感」などというと、ついそのことを思ってしまうではないか。それとも私の方がゆがんでる?

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コメント

議会制民主主義によって生まれた安倍政権に独裁者とレッテルを張って批判する人たちは
なにを目指してるのでしょうか。
60年・70年安保でデモしてた人達は、自己犠牲・国益ということを考えてる面はあったとおもいます。
今行われてるデモは、なんの効果もない、ただのパフォーマンスのような気がします。

けんこう館様
自分と意見の違うものを悪と決めつける、というのは戦時中の軍部とおなじ考え方ではないかと思います。
シールズのような、ラップをみんなで歌って政治活動をしているつもりの集団には、多少は真剣に政治のことを考えたことのある団塊世代のひとりとして、違和感があります。

十人十色の考えの中、正義感というのも結構厄介なものがありますね。
中途半端でどうでもいいような正義感に燃える人もいるし。
・・・自分で墓穴を掘るようなことを言いました(^_^;)

自分が正義だから、それに反するものは悪である、と決めつける人が問題です。
それぞれに考えがありますし、白か黒かで判別出来るものは滅多にありません。
自分の考えも状況や経験で変わるものです。
だからといって何でもやり放題が許されるわけではありません。
言う迄もないことですが。
一番度しがたいのは、他人に洗脳されているのに自分の考えだと思い込んでいる人です。
デモなどで、先頭の人の声に唱和するうちに陶酔してしまう人は危ないです。
お祭りではないのですから。

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