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2016年5月 2日 (月)

イタチの何とやら

 沖ノ鳥島の排他的経済水域で漁をしたとして台湾の漁船が日本に拿捕された。その後罰金を支払い解放されたのだが、それに対して馬英九総統がクレームを付けている。

 「そもそも沖ノ鳥島はただの岩だから、日本は領海を主張できない。日本は意地を張るべきではない」というのだ。領海でなければ公海であるから、拿捕の権利はないということである。場合によって国際社会に仲裁を求めるつもりだそうだ。

 日本にとって沖ノ鳥島の問題を云々されるのは非常に不愉快なことである。だからいままでどの国もそこには触れない。それをわざわざその領海で漁をして係争しようという姿勢は、馬英九の仕掛けたものではないかと疑われても仕方がない。よしんば意図的ではなくともそれを理由に喧嘩を売ろうとしているとしか思えない。

 台湾では漁業関係者たちが馬英九の強硬姿勢を歓迎しているというが本当か。馬英九は漁業関係者だけではなく、台湾国民あげて盛り上がって欲しいと期待しているのだろう。そうなることは日本にとってだけではなく、台湾にとっても益のないことであると思う。

 馬英九は沖ノ鳥島について不服を申し立てるというなら、南シナ海での中国の行動について問題視する発言をしているか。少なくとも沖ノ鳥島は満潮時でも水没しない、れっきとした陸地である。それにクレームを付ける態度はまさに中国政府と酷似したものだ。中国に媚びを売っているのではないか、と勘ぐりたくなる。

 多くの自立した台湾国民にとことん嫌われた馬英九が、日本と対立してみせることで、少しでも引退後の自分の評価を引き上げたいという意図が見え透いている。そのことが少しも国のためではなく、自分のためであることも、見え透いている。

 自分のためにあとの人たちに火種を残す、このことはまさにイタチの何とやら、ではないか。愚かな人である。

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