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2016年5月16日 (月)

非礼の呪い

 エリザベス女王が、半年以上経ったあとのいま、中国の習近平のイギリス訪問の際の警備の責任者に慰労の言葉を掛け、あのときの中国の態度は非礼であった、と洩らした。たまたまそのことばを集音マイクで拾われてしまい、ニュースになった。

 いったい何があったのだろうか。憶測ですら、なにも報じられないからさっぱりわからない。ただ、さもありなん、と思った日本人は多いだろう。習近平政権になってからの中国は、胡錦濤のときよりもずっと居丈高で攻撃的だ。

 相手の立場や気持ちを歯牙にもかけないから、外交的にはあまりうまくいっていない。だからやたらに金をばらまくことになっているようだ。金で仲良くなっているだけなら、金が滞れば離れていくのは世の習い、だからつい中国経済の先行きが悲観的であることを願ってしまうのは、私だけではないだろう。

 ネットニュースを眺めていたら、韓国の中央日報に中国の「無礼外交」という記事があった。

 韓国の全斗煥大統領が訪英したときに、警備上の要望を伝えたとき、イギリス側からはにべもない拒否の返事があったことを紹介し、イギリスは自国の警備に自信もあるし、プライドもあることを報じたうえで、そのイギリスが中国を非礼、というのだからよほどのことであろう、と述べたあと、イギリスメディアの情報として、トイレの問題や随行員の部屋の家具が風水に合わないとして訪問をキャンセルすると脅した、クローゼットを勝手に赤く塗り直した、晩餐メニューは中国側の了解を取るように申し入れてきた、晩餐会場の座席配置を勝手に換えようとした、客室サービスの入室を拒否した、などが列記されている。

 事実かどうか知らない。どうもそれ以上の非礼もあったのだろう。そうでなければエリザベス女王が警備員にそんなことばを洩らすはずがないではないか。

 日本人はいざ知らず、イギリスでは中国に対して不快感を高めていることであろうと推察する。習近平のイギリス訪問は結果的に大きな失態だったことになった。キャメロン首相は自国の経済を振興するために、アメリカと多少の軋轢が生じても中国と親和する道を選んだ。AIIBにいちはやく参画すると名乗りを上げたことはアメリカにとって不愉快なことだったろう。

 今回のパナマ文書の公開で真っ先にキャメロンがやり玉に挙がったのは、アメリカの陰謀だ、とまで言われているのは、そういう状況を背景にしているのだろう。

 すでにオバマ大統領も、習近平のアメリカ訪問のときの態度に不快感を示しているようにみえる。習近平の無神経さが中国の心象を損なうことになっている。貧すれば鈍するを絵に描いたようになっているように思えるが、どうか。

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