地主と小作
北朝鮮の人民軍兵士の糧食は、協同農場の農産品を国家の取り分と農民の取り分とに分けられて、その国家の取り分から供出されるのだそうだ。
軍隊は自分の農地も持っているが、慢性的に不足しているばかりではなく、本来の協同農場からの分配からの供出でも足らず、農民個人への分配分からの強制徴用が常態化しているという。さらに都市住民に対しても供出が強要されるというから末期的だ。
農民の不満があまりに高まったことを受けて、昨年、農民の取り分は自由に処分できるように定められた。餓死者まで出たというからよほど深刻だったのだろう。生産意欲がようやく回復した矢先に、ふたたび軍糧米の強制徴用が行われる事態になった、と報じられた。
生きるか死ぬかの強制供出であるから、命がけで拒否するものもいるようだ。しかしそんなことが許されるはずもない。一人許したらみんな拒否してしまう。
ところがその供出米がひきとられない事態もしばしばあるという。軍用車がないともいい、燃料がないから軍用車が動かせないともいう。その軍糧米を警備するために兵士が派遣されているのだが、その兵士がこっそり備蓄米を闇市場に売って酒に替え、捕まった事件もあるそうだ。
農民からは「いまの朝鮮は、国家が地主で農民は小作農だ」などということばが聞かれるという。
苛斂誅求な収奪を行った地主に支配されていた時代の方が、いまよりマシだ、と農民たちは思っているのかも知れない。よほどのことがなければ餓死するまでのことはなかっただろうから。金王朝は歴史にそのような国家として名を残すだろう。すでにそうか。
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