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2016年8月31日 (水)

長谷川慶太郎「2017年 世界の真実」(WAC)

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 まだ2016年の8月だというのに、長谷川慶太郎が早くも2017年の世界についての展望を語る。

 長谷川慶太郎はすべて口述筆記であるという。それを文章に起こし、それがそのまま本になるのだそうだ。それができるようになるまで経験を積み、今ではほとんど手直しも必要ない。これならあっという間に本ができるが、それしてもいろいろな情報を頭の中で整理して、すらすらと口述筆記出来るというのはすばらしい記憶力と構成能力だ。1927年生まれというから、もうすぐ90歳だというのに凄いことだ。

 長谷川慶太郎の本がすらすらと読みやすいのも、彼が語ったものを文章にしているからなのであろう。

 今回はイギリスのEU離脱決定後にその影響を考慮して世界の展望を語っている。EUの今後の見通しについては、先般読んだ木村正人の「EU崩壊」とシンクロするところが多く、得心のいくものであった。つまりとても悲観的、ということだ。

 中国はゾンビ企業(赤字垂れ流しの国営企業)の処理をしない限り、経済的に立て直しができない状態になっているが、すでに手遅れとも言える。李克強首相は早くから国営企業のリストラ推進を主張していたが、ほとんど何もできていない。そもそも経済面は主に首相の専権事項だが、その権限を著しく制限してきたのが習近平であり、今はその権限の7割近くを奪っているともいう。

 それが李克強の意外な能力不足によるもの、という見方もあるが、そもそも習近平が権限を与えていない、というのが長谷川慶太郎の見立てで、私もいろいろな本やニュースからその見方のほうに組みする。李克強は胡錦濤の後継者と目されていた人物だから、その能力を活かすつもりなど習近平にはもともとないのではないか。

 経済音痴(私の勝手な思い込みの部分もある、今後の成果を見れば分かる)の習近平が、中国経済のガンである赤字国有企業にどのようメスを入れるのか、それとも放置するのか、それによって中国の現体制の命運が決まる。命取りになるかもしれない。なにせガンの処置なのだ。

 長谷川慶太郎は今まで明日にも中国の現体制が崩壊しかねないような物言いをしていたが、そのトーンはなりを潜めている。もし大きな変かがあるとしてもそれはすこし先のことだということなのか、それとも崩壊が近いことは言う迄もないことなのでもう言わないのか。

 アメリカの大統領選についてはあまり悲観的ではない。誰が大統領になっても破滅的なことにはなりようがない、と見ているようだ。もともとヒラリー・クリントンには批判的だ。もちろんトランプについては論外であるが。ただ、アメリカが一国最強の地位を降りてしまうのは、遅かれ速かれやって来る事態だった。

 世界が平準化していく、という私の見立てと矛盾しない。

 今後は北朝鮮とロシアにどう対峙していくのか、世界の展望に大きく立ちはだかる問題なのであろう。

 長谷川慶太郎は、相変わらず日本の未来にとても楽観的な見立てをしている。それは巨大災害のときの日本国民の行動を見れば分かることだ、というのにうなずく人は多いだろう。そして日本のものづくりに対する真摯な姿勢を高く評価しているのだ。日本人が思っている以上に世界は日本を高く評価しているのだという言葉にそうかも知れないと思うか、そんなはずはないと思うか、人によって意見が大きく分かれるだろう。

 日教組的な教育を受けて育ち、日本は悪い国だと擦り込まれた上に、日本を貶める物言いを続ける中国や韓国に洗脳されている人が多い日本で、若い人たちがそこから自由になることを希望したい。

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