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2016年8月 2日 (火)

堂場瞬一「穢れた手」(創元推理文庫)

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 堂場瞬一と言えば警察小説である。鳴沢了のシリーズなど、一時期せっせと読んだものだ。主人公が地道に少しずつ薄皮を剥ぐように事件の真相を解明していくという、リアルな物語の進め方が多い。

 主人公と同期で親友の刑事が、警察情報をもらして収賄した罪で逮捕される。贈賄側の証言も得られていたのだが、親友は完全黙秘。そのうちに関係者が一人自殺、贈賄側の証言も翻される。結局事件は立証できず、親友は放免される。

 しかし、親友は逮捕された時点で免職となり、復職の目処は無い上に「汚職警官」の汚名はぬぐえぬままとなる。

 そんな中、主人公は真相を突き止め、親友の汚名を雪ぎ、出来れば復職を勝ち取ろうと単独で捜査を開始する。しかし警察組織は過去のこととして彼が動きまわることを許そうとしない。彼の操作は遅々として進展せず、彼が頼れる数少ない人たちからも、そして当事者の親友からも、これ以上関わるな、という強い忠告を受ける。 

 それでも単独の捜査を進める主人公は、贈賄側の男を尾行中に、意外な人物に会っているところを見る。さらに正体不明の人物が現れる。みなが、主人公になぜこの事件に関わらせようとしないように動くのか、それが最後に明らかになる。

 まさかこういう結末ではないだろうなあ、と思っていたような結末になっていく。そのことにはなんとなく釈然としないけれど、気がついたら最後まで一気に読んでしまった。

 巻末の解説に、堂場瞬一の警察小説はハードボイルドである、と書かれている。ハードボイルドは普通警察官ではなく探偵や孤高の男であるが、確かにハードボイルド特有の、組織ではなく、孤独な男が、ひたすら多くのひとと会い、会話を積み重ねることで事件の核心に迫っていく手法はこの小説でもそうだ。

 警察小説だが組織で動くのではないというのが独特なのかもしれない。そう言えば鳴沢了のシリーズもそうだった。

 本の帯にミスリードの罠が隠されている。

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コメント

この手の小説は、一気に読み切れるのがですよね。
一旦止まると、再開に時間がかかります。
私もこの間、堂場さんの小説を久しぶりに一気読みしました。

しゅうちゃん様
堂場瞬一の小説は、まず外れがありませんから読みたいのですが、多作なので最近は本屋の棚で新刊を見てもパスしています。
残念ですが、読める本の数には限度かありますからね。

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