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2016年8月24日 (水)

話はつたわるか?

 わたしが愛読するエッセイストの一人に山本夏彦がいる。一時期心酔して、影響を受けた。この人の文章は、分かる人には一読伝わり、分からない人には混乱を、そして誤解を与える。

 以下の文章(抜粋)を見てどうか。

 私は私の話が難解だといわれることが多いから、いつも我とわが身を疑うことにしている。どこが難解か私は聞かねばならぬ。相手はそれがどこか言うことができない。それが言えれば分ったのだからできない。私は手をかえ品をかえ迫ってようやく合点する。
--私は老人のいない家庭は家庭ではないと書く。そう言えば老人は喜ぶ。若者はいやな顔をする(ここまでは分る)。けれども今の老人は老人ではない。迎合して若者の口まねをする、追い出されるのはもっともだ。
 字句に難解なところはないが、一転し再転するところが分らない。貴君は老人の敵か身方か。ははあと私は分った。分ったけれど私は悔い改めるわけにはいかない。私でなくなる。
 
 私もときどき展開に置いて行かれることがあって読み返し、読み返ししないといけないこともあるが、おおむねすっと胸に入る。

 わかる人には分かり、分からない人には分からないことは世の常で、話が必ずしもつたわらないこと、そしてそのことの方が多いらしいことをしばしば実感させられる。

 話せば分かる、などと安直に言うな! そう言う人間ほど相手の話を聞こうとしないし、聞いていないことが多いのは不思議なほどである。

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コメント

追い追い出されない老人になるため、もう少し頑固になります。

けんこう館様
アメリカン・グローバリズムのこの時代、もうすでにこの世に老人の居場所はないのかもしれません。

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