酢ごのみ
最古の落語の種本といわれる安楽庵策伝の「醒睡笑」という笑話集がある。角川文庫の上下巻のものを持っている。最近講談社学術文庫にも入ったようだ。高校時代に分からないなりに通読した。笑話集だから読もうと思えば古文が苦手でも読めるのだ。
ごく最初のほうにある小咄。
「痩法師の酢ごのみ」とは、八瀬の寺は昔より禁酒にて酒を入れず。僧の中に酒をこのみ、えこらえぬあり。常に土工李(とくり)をもちて行き通ふ。もし人問ふ事あれば、「酢にて候」といふ。日を経ずかよひしげし。また問ふときも同じ返事なるまま、諺にいひならはし、やせの法師はすごのみや。
痩せている者にしばしば信じられないほど酒の強い者がいる。その意味も掛けてあるのはもちろんであろう。
尾籠な話で申し訳ないが、便秘と下痢が交互にあってどうも胃腸の調子が定まらない。そこで酢を飲むことにした。飲用の酢はいろいろあるが、最初から甘いのは敬遠して、鹿児島の黒酢のすこし高いのを購入した。蜂蜜をすこしだけ垂らして水で割って氷で冷たくして飲む。最初は独特のアミノ酸の匂いが鼻についたが、慣れるとけっこう美味しく飲める。
息子が盆休みで帰省してくる前に、鹿児島へ旅行に行った。そのみやげだといっていろいろと買ってきてくれた。私は蒸留酒が苦手だが、芋焼酎とバーボンだけは好んで飲む。美味しい、くせのない芋焼酎は、息子と娘と三人であっという間に空になった。
鹿児島のオリゴ糖入りリンゴ黒酢というのもみやげのひとつである。腸内のビヒィズス菌を増やしてくれるそうだ。今飲んでいる黒酢がなくなったら飲もうと楽しみにしている。
そういうわけで私も酢ごのみになっている。
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