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2016年8月23日 (火)

梅棹忠夫「美意識と神さま」(中公文庫)

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 大阪万博の跡地の奥に国立民族学博物館がある。行ったことがある人はその素晴らしさをご存じだと思う。まだの人は一度訪ねてみることをお薦めする。わたしは一年おきくらいに三回行った。その国立民族学博物館の初代館長(1977-1993)が梅棹忠夫氏である。

 何冊か氏の本を読んだが、「まだ夜は明けぬか」が特に忘れられない本である。梅棹忠夫氏は突然失明した。ある朝起きて目を開けたら真っ暗である。夜中なのかと思ったら、いつまでたっても明るくならない。やがて自分が光を失ったことを知る。

 視力の喪失は私の最も恐怖することである。糖尿病の治療にまじめに取り組んでいるのは、糖尿病による網膜剥離などの視力喪失の危険を承知しているからである。

 今回読んだこの「美意識と神さま」という本は、単行本は1981年、文庫は1984年に出版された本で、ずいぶん昔に買ったのに、読みかけのまましまいなくしていた。押し入れの本を整理していたら出てきたので最初から読み直したものである。

 いろいろなところに掲載したたくさんの文章が収められている。そしてそれをどういう経緯で発表したのか、という前文がつけられていて、しかも後日の追記も一部収められている。こういう本は古くならない。戦後間もなく書かれたものから出版直前までの長期間にわたり、しかも内容も多岐にわたる。何十年も前に書かれているのにいま書かれたような新しさがある。それくらい梅棹忠夫氏が世の中を長いスパンを持った視点で眺めていたということで、全体を読むとそれがよく分かる。

 読んでいる途中で考えたことはいくつかブログに書き記した。
(「独り酒」、「計量法」、「開けたら閉めるについて再び」)
 表題の通り、著者の美意識が明確に分かり、肯くことが多い。

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コメント

私も視力の衰えは恐怖です。
読書力は言うまでもなく、
デッサン力もだいぶ落ちているのがわかります。
まだまだお若いOさん、お気を付けくださいね。

おキヨ様
眼のことはいつも気に掛けています。

ところで梅棹忠夫氏は視力を失ってからもたくさんの本を書いています。
凄い人だと尊敬しています。

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