突然もんじゅのことを考えた
外は暑いから出かける気にならない。それにたぶん夏休み真っ盛りだから、どこも混んでいることだろう。テレビをつければオリンピックだらけ。本でも読めばいいのだけれど、そうなると却って読む気が減退してしまう。
頭が空回りし出すと、思ってもいないことを考えたりする。突然もんじゅのことを考えた。あの敦賀半島の先端部にある高速増殖炉のことである。これは電力を供給するのが目的ではなく、MOX燃料(プルトニウムとウラン燃料の混合燃料)という燃料を使う実験炉である。これが成功すれば、通常の原子力発電所の使用済み燃料を再処理せずに燃料として再び使用できることになる。
原子力発電所の最大の問題は使用済み燃料の処理であるから、これが成功すれば夢のような話であるといわれていた。もんじゅは巨額の費用をかけて建設された。それだけの費用をかけることが認められたのであるから、理論的には可能であると判断されたのであろう。
ところが稼働したとたんに事故が続き、しかもその事故の対処はお粗末きわまりないもので、さらにその事故を隠蔽しようとした。もんじゅを管理する人々が、そもそももんじゅの仕組みも理論もわからずに実験をしていたとしか思えないようなお粗末さであった。
解っていなかったということでは、猿に任せていたのと変わらない。異常の警報が鳴ったら、どういう手順で炉を止めるのかマニュアルがあったらしいが、炉を傷めたらまずいから、という理由で手順に従わなかった。そのために警報が鳴り止まなくなり、うるさいからと警報のスイッチを切った。じつは問題が拡大していたのだが、警報を切ったから新たな異常の発生を見逃した。
炉を傷めないためという、優先順位をまちがえた本来あり得ない判断が、結局炉を大きく損傷させることにつながっていたことがあとになって解ったようだ。
これはあの福島第一原発の事故を思い出させるではないか。炉心冷却をするために、炉がどうなろうとまずベントを開け、海水注入でもしていれば炉心溶融までに到らなかったかもしれなかった。この場合は、その最終判断はもちろん現場ではなく、トップにある。トップはそのような判断をする責任があるが、判断できずに手遅れになった。トップにはその権限があるが、想像力も判断する能力も欠けていたのだ。
もんじゅの事故を教訓にしていればすこしは違っていたかもしれないが、そんなこと、東京電力のトップは学ぼうとは毛筋ほども思っていなかったのだろう。
もんじゅでは問題点をすべて調査して、改善すべき点を明らかにした報告書を提出した。ところがそれが杜撰きわまりないものであった。立ち入り調査したところ、報告書と現実が違うところが千カ所以上見つかったというニュースを見た覚えがある。それでは再稼働を申請しても許可が下りるはずがない。結局いつまで経っても何も進まないままである。
所管の文科省は、日本原子力研究開発機構をもんじゅの管理会社から外すことを決めたが、さて、どこがあとを引き受けるというのか。現場で働く人を総入れ替えしたくても、そのような人材が簡単に集められるとも思えない。今のままでは廃炉にせざるを得なくなりそうだ。
原子力発電所の最大の問題である使用済み燃料を使用することが可能になる夢の高速増殖炉はどうして頓挫したのか。ここからは私の妄想である。
高速増殖炉で生成されるプルトニウムは、通常の原子力発電所で生成されるプルトニウムよりも原子爆弾を作ることがたやすいらしい。つまり高速増殖炉が稼働すれば、日本は原子爆弾製造能力が飛躍的に上がることになる。
それを望まない国があるのではないか。それはアメリカであり、中国だろう。そして日本国内でもイデオロギー的にこのような原発維持拡大を絶対悪だと信じている人々もいる。彼らはもんじゅの事故を内心で拍手喝采して眺めているにちがいない。
それらの思いが現実のなにかの力となって作用した可能性があるのではないか、というのが私の妄想である。そうでなければあの事故の頻発はあまりに異常である。破壊工作にもこのような巧妙な工作があるのではないか。
眠れぬ夏の夜の悪夢として・・・。
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おはようございます。
先日は私のブログを見ていただきありがとうございます。
一見不可能でないにしても相当困難なこの高速増殖炉計画ですが、
ロシアでは小型ながら成功しているという話が立花隆氏がしていました。
ロシアは日本に共同開発を持ちかけたと言いますが日本は「もんじゅ」計画を理由に断ったと言います。
しかし、今のようにプルトニウムをためこんでいる状況下では世界から疑われても仕方がないでしょう。
日本もこのままこの計画を進めるか(多くの困難が予想されますが・・・)キッパリやめるか
選択を迫られていると思います。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2016年8月 9日 (火) 07時32分
shinzei様
大変残念ですが、トラブルの原因の解明が不十分なままでは、この計画はやめざるを得ないのではないかと思います。
今の日本にはこの計画を進めるだけの人材も能力も不足していると思いますし、それが改善される見込みも感じられません。
何らかの不都合な力が働いていたとしても、それすら分からないのでは仕方がないでしょう。
投稿: OKCHAN | 2016年8月 9日 (火) 07時46分