集中力
人生の要諦は集中力だと確信して生きてきた。集中力を欠けば実力を発揮できない。集中が出来ればそれまでにため込んだ潜在力も加わって、今までの限界を超えることが出来るものである。
もちろん不断の努力、積み重ねなしに実力以上の結果が得られることは決してない。精神力だけで結果など出ないことは、先の大戦で身に沁みるほど思い知らされた。積み重ね、蓄えのないまま、精神力で勝て、などというのは奇跡を神頼みするだけの愚かなことで、そんなものに神が手をさしのべることなどあり得ない。神風は吹くべくして吹くのだ。「待ちぼうけ」に歌われているような僥倖を願ったときに日本は負けが確定した。
オリンピックを見ていると、実力を発揮し切れずに負けたケースもあるようだ。努力と精進を重ねてきて、確かに実力はあるのだろう。私はその勝ち負けの差は集中力の差だと思う。
武芸者が無念無想になるほうが勝つ、などというのも、雑念のない、心の集中が出来たほうが勝つと言うことだろうと思う。
今回、体操の内村航平の、劣勢に立たされた中で瞑想しているような静かなたたずまいが印象に残った。そして最後の鉄棒でいままで以上に完璧な演技をした。あのとき彼は真に無念無想、完全な集中力のなかにいたと思う。
その前のいくつかの演技で不本意な評点が出ていたように思えた。たぶんそれに対して内心に波騒ぐものがあったであろう。よくぞそれを鎮めたものだ。その精神力の素晴らしさに拍手を送りたい。
あらためて集中力が人生の要諦だと確信した。
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