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2016年8月 6日 (土)

沢木耕太郎「銀の街から」(朝日新聞出版)

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 悩ましい。

 沢木耕太郎は映画を見て感じたことを、朝日新聞に連載している。この本はそれをまとめたものだ。あえて批評といわないのは、もう少し映画に近い位置に立っているからだ。客観的であるより、身内のような主観的な立ち位置をあえて選んでいるような気がする。だからわたしが映画を見たらこう思うだろうな、ということを先取りしているようなところがある。

 もちろん沢木耕太郎のほうが映画通で、しかもその見方の深度がはるかに深い。それでもそう感じるのは、ここで取り上げられている映画の何作かをわたしも観ているからだ。そして語られていることに全面的に賛同するからだ。

 沢木耕太郎の文章にすると、とりあげられた映画がどれも魅力的に感じられる。だからこれから見ようとする映画すべてを事前に沢木耕太郎に紹介してもらいたいくらいだ。そうすれば大事なところを見逃すことがなくなるのではないか。そして感動も倍加するような気がする。

 だからこの本でも、観ていない映画についての文章を読むとぜひ観てみたいと思う。しかし同時にもうすでに観てしまったような思いがするおそれもある。それが悩ましい、と言うのだ。

 この本では2007年から2014年まで、それ以前のものは「銀の森から」というタイトルで本になっている。少し前にこのブログでも取り上げた。じつは出版されたのはこの「銀の街から」が先である。

 特に共感した映画。「スカイ・クロラ」「レスラー」「千年の祈り」「カールじいさんの空飛ぶ家」「冬の小鳥」「トゥルー・グリッド」「そして友よ、静かに死ね」「ゼロ・グラビティ」。

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