壁は牢獄か
「ニューヨーク1997」(1981年・アメリカ)と云う映画がある。ジョン・カーペンター監督、主演カート・ラッセル、私の好きな映画である。この映画では犯罪者の激増に業を煮やしたアメリカ政府が、マンハッタン島を収容所にして島の回りに高い壁をめぐらせている。そこに大統領専用機が墜落、それを救出に向かうのが脱走の名人スネーク・プリスキン(カート・ラッセル)というお話である。
いまメキシコではガソリン価格の高騰をきっかけに物価が上がり、それに対する抗議デモが頻発、そしてそれがエスカレートして暴動が発生し、商店の略奪が横行していると報じられていた。
メキシコはアメリカと結んだFTAにより、豊かになったのかと思っていた。世界中の大手企業が安価な人件費と、アメリカへの関税のないことからメキシコに工場を建てている。たぶんメキシコ全体は経済的に豊かになったのだろう。しかしその富はご多分にもれず偏在している。そうなれば豊かになったひとの隣に住む豊かにならない人々は相対的に貧困感を抱く。同じ収入なら物価が上がったことで生活は苦しくなる。国が豊かになったことで、却って自分が貧しくなるのは不当であると考えるのは当然の成り行きである。
いまトランプはメキシコとのFTAを解消し、壁を築こうとしている。他の国に対しても同様のことを繰り返すだろう。それが彼の公約である。そうしてアメリカの回りに高い壁をめぐらせようとしている。壁の中ではアメリカファーストである。アメリカしかないからアメリカが一番である、最強で最悪だが。
そのめぐらせた壁は「ニューヨーク1997」のマンハッタンの壁に似るであろう。その壁はアメリカを守るためのものか、アメリカから世界を守るためか。
トランプは壁の中で吠え続けるであろう。聞こえないけど。
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