約束
約束は守らなければならないと子供のときに教えられた。約束を守ることが信用を生み、信用が社会の秩序を維持する。
やむを得ざる事情が生じて約束を守れないこともある。そのときには約束した相手に事情を説明して了解してもらい、約束を解消する。相手の了承なしに約束を破ることは信頼を失うことだからだ。
こんなこと、誰でも理屈で分かっているし身に沁みていて、生理的に約束を破ることは不快を伴う。ところがそうではない人々がいる。約束を破る正当な事情があれは相手の了解なしに約束を一方的に破棄することは当然である、と云う人々だ。そしてその正当な事情というのは自分の価値観によるものである。
そうなるとそもそもそういう人々とは約束はできないのだが、世の中はそういう人とも約束せざるを得ないことがある。その約束によって関係が少しでも改善するという期待があるからだ。仲良くするほうが互いに利益が得られるのが社会というものであって、互いに角突き合わせていては生きにくい。
しかし好き嫌いというものもあって、どうしても虫が好かないとなると仲良くすることが却って不快を伴う。どうもそんな間柄が日本と韓国との関係であるようだ。もともと近い隣国との関係とはそういうものであって、そんな例は山ほどあり、日本と韓国が特別なわけではない。
そういうときは敬して遠ざける。つまり礼儀をもって互いに距離を置くということである。礼儀とは形である。心のありなしよりも形で対面することで冷静さを保つことができる。世界の隣国は長い諍いの果てにそのような知恵を身につけた。
いまは韓国との関係は敬して遠ざけるべきときのようである。
約束を破るといえば、日本の敗戦直前、日ソ不可侵条約の失効を待たずにロシア(当時ソビエト)は満州地方に進撃し日本軍に襲いかかり、満州に入植していた日本人たちを襲い、略奪強姦を行った。日本軍の抵抗による被害を想定し、先遣されたのは犯罪者たちが多かったともいう。
多くの日本軍人たちは捕虜となり、シベリアに送られ、強制労働をさせられた。中にはシベリアよりはるかに西まで連れて行かれた者もいる。私の叔父はカスピ海の近くまでいって帰国したのは昭和25年であった。捕虜に対する明らかな国際法違反である。
そのあげくが北方領土の一方的な占有である。彼等は北方領土を戦利品と公言していることは承知の通り。
ロシアとはそういう国であると、祖父や父から繰り返し聞かされて育ったから、約束を破る、と云うとそのことが反射的に頭に浮かぶ。
TPPは各国が交渉で合意したけれど、それぞれの国での、特にアメリカでの議会承認を受けていない。トランプ次期大統領は就任したら即日破棄すると公言している。いやしくもこれも国と国との約束である。破棄には破棄するだけの説明が必要だが、彼にとっては破棄することがアメリカ国民との約束だから、と云うのが理由らしく、他の国に対して説明する気などないようだ。
しかしカナダやメキシコと結んでいるFTAという二国間の約束はすでに施行されている約束である。その約束を破棄するなら相手の了解を取り付けなければならない。その交渉もなしに一方的にFTAの取り決めを無視するようなことを公言してはばからないトランプという人物は、約束を破ることが平気な人物のようである。彼はアメリカ国民に数々の約束をした。その約束はその前に約束されていたことを破らないとできないことが多い。普通ならできない約束である。
ところが彼は自分の約束を守ることを優先するのが当然だと考えているようである。約束を破らなければ守れない約束をして平然としている人物と、どうして新たな約束ができるのだろうか。アメリカ国民に公言した約束も破られるに違いない。
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