基準になるもの
ものを判断するときの基準になるものは「正しい情報」だと思われている。しかし「正しい情報」とは何だろうか。正しいと判断する基準は何か、などと考えだすとわけが分からなくなる。
トランプ大統領がマスコミと敵対していると報じられている。彼がマスコミを非難する理由は、マスコミが偽ニュースを流すからだと云う。トランプ大統領を支持し、トランプ大統領の云うことをそのまま報じるマスコミは、彼にとってあるべき正しいマスコミで、彼に反対するのは偽ニュースを流す悪いマスコミと云うことらしい。
アメリカのマスコミの多くは大統領候補時代のトランプを批判するニュースばかりを報じていた。そしてトランプはクリントンに勝てない、と最後の最後まで予測し続けた。
その予測は外れた。
予測が外れたことは、トランプ大統領にとってマスコミが偽ニュースを流すと主張する根拠となっている。彼にすれば、マスコミは間違っていた、現に自分は大統領になったではないか、というわけである。
人々はマスコミの報じるニースを情報として受け取り、それを基準として世界を見てきた。マスコミが時に間違いはあるにしても、嘘を言うはずかないという確信らしきものがあった。ところがトランプ大統領はマスコミは嘘つきだという。確信が揺らいでしまえば基準が揺らぐ。それでは不安でいられない。ではどうするのか。
ネットにあふれる無数の情報をひたすらかき集め、その情報量で情報の正しさを支えようと考える。間違った情報もあるかもしれないが、全てを網羅すれば真実らしきものに近づくという思いがあるのだろう。
残念ながら人が集められる情報には限りが有り、しばしば、というより必ず人は自分の受け入れやすい情報を無意識に選別してしまう。山のように集めたつもりでも、それは全てかたちを変えた同じものである。
そもそも私には、トランプ大統領という人が自分が正しいと言い張る基準となる情報こそ、歪んでいるし、偏っているように見える。それを見て批判する声がアメリカ全土、いや世界中に氾濫している。それなのにその声が今のところトランプに届かない。なぜならその声はトランプ大統領にとって偽ニュースだからだ。
反知性主義という言葉がひところよく言われた。ここでいう知性とは何か。「自らが間違っているかも知れない」と懐疑することが出来る能力のことである(by内田樹老師)。アメリカはしばしば反知性主義の蔓延する国で、宗教はその弊をもたらしやすい。それを乗り越えた宗教だけが歴史を生きのびたのだが、宗教はその宿命を常にはらんでいる。
自分とは異なるものを排除しようとする思考様式は反知性的である。差別ももちろんそうである。トランプ大統領が反知性的であるのはイスラム排斥を唱え、移民で成り立ってきたアメリカそのものを否定するに等しい移民排斥を掲げていることに象徴的される。アメリカは常に先に来た者があとから来る者を排斥し、次の者がやってくると今まで排斥されていた者たちが仲間に繰り込まれるという歴史を繰り返してきた。今まったく同じことを繰り返しつつあり、そのことへの自覚のなさに呆れるばかりである。
アメリカのマスコミが再び基準の発信者として立つことが出来るのかどうか。どうしたら復権できるのか、これは世界にとってとても重要なことのような気がする。
蛇足だが、朝日新聞を私があしざまに言うのは、その正義の判断の基準者を自認することが過剰のために、何とそれこそ正義のための偽ニュースを乱発することで自らの存在意味を否定してしまったからであり、どれほどの災厄を世の中にもたらしたのかの自覚がないからである。偽ニュースはマスコミの内部の致死性の毒であろう。
だから中国や北朝鮮や韓国のマスコミも自家中毒にかかっているような気がする。ここから脱却しないと世界の人々は基準を見失う。
そもそももう基準など必要ないのだろうか。そんなはずはないと思うのだが。
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大統領選の頃、ヒラリーとトランプの支持率はアメリカでは48%:40%
日本では68%:8%というときがあったそうです。(8%は記憶違いかもしれません。)
日本のマスコミのほうが重症のようです。
投稿: けんこう館 | 2017年2月28日 (火) 11時17分
けんこう館様
統計データの読み取りに自分の希望が紛れ込んでしまうことはどうしても避けがたいところですが、意図的であってはいけませんね。
アンケートの設問にそういう誘導的なものが仕組まれていることもあります。
朝日新聞だけ違う民意を読み取ることが多いのは、読者の傾向もないとはいえませんが、設問が少し違うことがあるようです。
投稿: OKCHAN | 2017年2月28日 (火) 17時53分