「1911」が観たくなった
「1911」というのは、ジャッキー・チェンが総監督を務め(監督はチャン・リー)、熱演もした映画である。映画のテーマは辛亥革命であり、ジャッキー・チェンは孫文の盟友・黃興を演じている。
辛亥革命は1911年10月10日、武昌での武装蜂起から始まった。中国ではこの日を双十節という。2011年が辛亥革命からちょうど100年なので、NHKで特集番組が作られた。それを録画して、当時一度観ているのだが、久しぶりにもう一度観た。
第一回が「孫文と辛亥革命と日本」。辛亥革命に命をかけた人々と日本との関わりはとても大きい。この番組の中でジャッキー・チェンの「1911」が紹介され(もちろんこれも辛亥革命から100年を記念して作られたのである)、ジャッキー・チェンは「辛亥革命にこれほど多くの日本人が深く関わっていることを始めて知った」と語っている。中国人は知らず知らされず、日本人もほとんど知らない。
第二回は「ラストエンペラー溥儀 満州事変と満州国の真実」。あれほど孫文の理想に共感して援助した日本人がいたのに、日本は中国への野望を膨らませ、関わりは変質していった。溥儀の転変の生涯が詳細に語られ、彼にずっと付き添っていた日本人の話が語られる。
第三回は「蒋介石 初公開 日記が語る日中戦争」。蒋介石は若いときからずっと日記を付けていた。それは非公開で、アメリカにあるようだ。膨大なその日記を二年半掛けて書写した中国の研究者がいる。中国、台湾、そして日本の研究者がその日記と実際に歴史として記録されていることとをつき合わせ、その意味、蒋介石が何を考え、どう行動したかが解析されている。まだ研究は端緒についたばかりのようだが、今後始めて明らかになる事実もありそうだ。
興味深かったのは西安事件に関するくだりだ。この事件に関しては張学良本人のインタビューが添えられているが、核心部分については遂に語らなかった。周恩来と蒋介石は何を話し、何に合意して国共合作に至ったのか。何が秘密にされているのだろうか。西安事件のあった華清池の宿舎を二度ほど訪ねたので、歴史の話と云うより、リアルな実感のある事件なのだ。窓にはいまも銃弾の跡が残されている。蒋介石が逃げた華清池の背後の驪山に霧のかかった景色が忘れられない。
それぞれ約90分、すべてを一気に観るのはずいぶんハードであったが、歴史の中にのめり込んだ。ジャッキー・チェンが辛亥革命についてどう描いているのか、それを知りたくて「1911」が観たくなったというわけである。
何より思ったのは、日本はいつから理想よりも損得に走ったのか、ということである。もちろん理想に燃える人もあり、損得利害で生きる人がいるのはどこにでもどの時代にも共通しているが、どちらがより力を持つかで時代の様相が一変する。明治維新もそうだったけれど、満州侵略、日中戦争への日本の暴走に至った時代を思った。日本の国の為にといいながら自分の利を求め、遂に国を滅ぼすことになった人々は自分の行動をどう釈明するのか。
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