悲鳴
今日の病院の話でもうひとつ思い出した。
小児科の診察室が私の受診する内科の奥にある。病気を治すためだから注射することもあるだろう。だからそもそも子供は病院が嫌いだ。泣き叫びながら親に引きずられるようにして診察室に向かう子をときどき見る。まあやかましいけれどほほえましくもある。
ところが今日の子はそんなものではなかった。まず絶叫のような悲鳴が聞こえ、「いたいっ!」「いやだっ!」「やめてっ!」と叫び続ける。ここが病院で、小児科の病室から聞こえてくる声でなければ、あたかも身体を一寸試し五分試しに切り刻まれているのかと思いかねない。
あの悲鳴はもちろん恐怖から発するものだろう。とはいえ普通恐怖に人はすくみ、泣きはしても喚き続けるという行動は取らないような気がする。彼女は(声から察するに女の子のようである)恐怖の対象に抗議し、抵抗していた。なまはげを見ても彼女は同じ行動をとるだろう。
悲鳴を上げるから必ずしも弱いわけではないかもしれない、などと延々と続く絶叫に感心していた。
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