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2017年4月 8日 (土)

映画「聖者の谷」2012年アメリカ・インド映画(劇場未公開)

 監督ムーサ・シード、出演グルザール・バット、ニーロファル・ハミッド、アブザル・ソーフィー他。ドキュメンタリーを見ているような映画だったが、多分記憶に残り続けるだろう。

 カシミール地方に住む青年グルザール(グルザール・バット)は叔父と二人暮らしで、叔父の世話をしている。叔父はそれを当然のこととしているが、グルザールは自由になって都会に出たい夢も持っている。

 近所の口さがないおばさんたちは叔父に縛られているグルザールの陰口を囁き会う。こんな状態では嫁の口をきいてもらうことは出来ない。

 そのグルザールにはちょい悪のアフザル(アフザル・ソーフィー)という友人がいる。彼の誘いもあり、小金を貯めて叔父を残して都会に出る決心をする。叔父が遠くの結婚式に出席するため、しばらく家を空ける。家出のチャンスがやってくるが、アフザルには出かけるための金がまだ準備できていない。しかも叔父を見送ったあとカシミール地方独立運動の騒動が起こり、当局によって外出制限が行われて身動きが取れなくなる。

 そんな時地元の有力者からグルザールに、ある女性の世話をするように要請がある。その若い女性アシファ(ニーファル・ハミッド)は大学の研究生で、地元のダル湖の水質汚染の実態調査のためにやってきたのだ。グルザールが生活の基盤にしている湖だが、彼女の調査を手伝ううちにダル湖の真の姿が見えてくる。排水は流れ込み、ゴミは捨て放題で湖は絶望的に汚染されていた。その水を生活水に使っている人々はその湖と共に汚染されているが、そのことに気がついていない。

 アフザルもアシファの手伝いを勝手に始めるが、アシファはそれをあまり快く思わない。アフザルの下心が見えるからだ。まじめなグルザールがどうしてアフザルのような男と仲がいいのかアシファには理解できない。やがてアフザルは調査を却って邪魔することになるような失敗を犯してしまう。

 こうして再びグルザールとアシファのふたりだけの調査が続けられ、ふたりの心は少しだけ近くなっていく。しかしもともと育ちの違うふたりのことであるから、淡い関係のまま別れることになる。それが湖の風景と重なってしみじみとした叙情を見せる。

 アフザルは外出禁止のあいだに地元のボスから違法行為の仕事を請け負い、しばしばグルザールも手伝うことになる。きわどいこともあったが何とかそれで小金を貯めたふたりはついに旅立ちの準備が整い、まつりのために外出禁止が解かれたのを機にバスで旅立つ。

 走るバスの窓外にダル湖が見える。グルザールは自分の過去の生活とアシファとの日々を回想する。そして・・・・。

 なんだかインドのカシミール地方にどっぷりと浸かって、観光客としてではなく現地に暮らす人間として生活していたような記憶が残された。余韻の残る映画だった。淡々としているから山場らしい部分は少ないが、登場人物の心の動きが手に取るように分かる。分かることはとても大事なことなのだということもよく分かった。

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