映画「CAGED-監禁-」2010年フランス映画
監督ヤン・ゴスラン、出演ゾエ・フェリックス、エリック・サヴァン他。
最初に少女ふたりがかくれんぼをしているシーンから始まる。一人が鬼になってもう一人を探し始めるが、どこにも姿がない。納屋の中を覗き込んだその少女が見たのは、血まみれでボロ屑のように横たわる友達だった。闇の中から現れたのは牙を剥く猛犬。
半狂乱になった少女は納屋の中に置かれた廃車に逃げこむ。猛犬は車に向かって狂ったように体当たりを繰り返す。
そして時が経ち、成人になった少女キャロルはボランティアの医師としてユーゴスラビアの紛争地帯にいる。ようやく任期を終え、同僚達三人と車で撤収のドライブに出発した。ところが途中の道路に地雷があるということで通行止めにあう。古い地図を見ていた同僚が迂回路があるというので本道を逸れた三人だったが、いつしか道に迷いどこにいるか分からない状態になってしまう。
ようやく見つけた途中の農家で道を尋ねることになるのだが、その農家のたたずまいはどことなく不安を感じさせるもので、彼女は奇妙な既視感を覚える。彼女のトラウマとなっている場所とイメージが重なるのだ。それは恐怖を覚える犬の吠え声のせいでもあった。
やがて教えられた道を走り出した三人は、突然覆面をして武装した男たちに襲撃されてとらわれてしまう。同僚の一人はその際に銃撃を受け足を負傷する。
ここから監禁された彼等が体験する身の毛もよだつような出来事が描かれていく。血まみれのシーンがあり、理由の分からない不条理な恐怖が続く。やがてなぜ彼等がとらわれているのかが分かり始める。それは分からないから恐怖だったことが、分かったことでさらに恐怖が増すという仕掛けになっている。
絶望の中にかすかな希望があり、その希望が粉みじんに砕かれてさらに絶望が深まる、という繰り返しの中で、キャロルは自分のトラウマを乗り越えられるのか、それともそれに押しつぶされてしまうのか。
彼女を立ち上がらせたのは、一人の少女が同じようにとらわれていることを知ったときだった。彼女に過去の自分を見たのかも知れない。絶望的な状況の中、彼女の戦いが始まる。
怖がらせ、気味悪がらせ、気持ち悪くさせてくれる映画だがそれだけではないところもある。
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