和田秀樹「『損』を恐れるから失敗する」(PHP新書)
人間は得をしたときのよろこびと、損をしたときのかなしみとどちらを強く感じるか。比較しようがないように思えるかも知れないが、心理学的実験をして統計を取ることでそれが可能であり、その結果損に強く反応することが分かっている。
人は利益を得ることよりも損を回避する方に行動する傾向がある。これだけで思い当たる人も多いことだろう。
アメリカのダニエル・カーネマンは「行動経済学」でノーベル経済学賞を取った。彼は心理学者である。そしてその行動経済学というのは、まさに上に上げたような人間の行動が経済にどう反映しているかを分析したものなのである。
そしてその「行動経済学」を分かりやすく説明しながら、具体的な実例に則していろいろな社会現象をその切り口によって分析して見せているのがこの本である。
個別の具体例を挙げていけばとても理解しやすいけれど、それは本文を見てもらうほうが良い。興味深いところを挙げると、日本のニュースが横並びであることの理由が絵解きされている。テレビ番組の質を下げると視聴率が下がる理由、バブルが拡大した理由、デフレが解消されない理由、叱った方が伸びるか褒めた方が伸びるか、コンコルド効果について、振り込め詐欺のテクニックの心理的分析等々。それがほんの一部で、たくさん面白いネタがある。損をしたくない人が規制緩和に反対する、と云う言葉には大いに納得した。
もちろん世の中はこんな切り口ですべて説明がつくものではないが、結構切れ味が鋭いので、応用が利きそうだ。
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