意外な航空燃料の原料
中国で画期的な航空燃料の生産が始まったと報じられていた。自慢げに書かれていると読むのは違っていて、じつは皮肉交じりの記事なのかも知れない。
その原料とは「下水油」である。中国では廃棄された食用油を再生して食用油にしているという話しはずいぶん前から報じられていた。下水に流れ込んだ廃油まで再生しているなどと聞くと恐ろしい。そんな油で料理された物を食べ続けていたら、健康にどのような影響が出るのか、人体実験をしているようなものである。しかしそれがたまたま摘発されたもののことではなく、一般的な食用油として流通しているらしいのだから恐れ入る。
以前上海の工場地帯にある安い食堂で、工場労働者がどんなものを食べているのか試しに食事を食べてみたことがある。やや酸っぱい青葉の漬け物を刻んで御飯と一緒に炒めたチャーハンのようなものが定食だったのでそれを食べた。出来たての熱いうちは勢いで呑み込んでいたが、醒めてきたら異様な油の匂いがムッと鼻に来た。
食べ物を残すのは嫌いだったけれど、さすがに完食することが出来なかった。思えばあれも下水油で炒めたものかも知れない。中国の貧しい人はそれを常食にしているのである。
記事では、下水油から航空燃料を作る事業が推進されていて、すでに試験飛行も行われ、問題は生じていないといい、10萬トンの下水油から3万トンの航空燃料を取り出すための設備が着工予定だという。将来的には高額の炭素税のかかる海外路線便の航空燃料にする予定だそうだ。再生だから特別あつかいになるのだろうか。
これで中国の庶民は下水油料理とはおさらばできることになるのかどうか。使用済みの食用油から作られた燃料だが「料理の匂いはしない」そうである。
報じているのが香港のメディアだから、多分皮肉交じりの記事なのだろう。
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OKCHANさん
日本でも、1997年8月。京都議定書の決議を受けて、
一般家庭から排出される廃食用油を、
京都市廃食用油燃料化施設でバイオディーゼル燃料として精製。
年間生産量は約150万リットル。
京都市の所有するゴミ収集車と一部の市バスで利用。
京都市交通局では106台の低公害バスを運用。
その中の93台がバイオディーゼル利用車、13台が天然ガス車両。
天麩羅を揚げた臭いはするようですよ
中国再生油は、どぶの臭いかしらね
投稿: ちかよ | 2017年4月11日 (火) 09時07分
ちかよ様
中国の場合は回収システムが整備されておらずに、文字通り下水から浮いた油をすくい取ったものが混ざっているという恐ろしさがあります。
日本の場合はまだ充分使える、あまり酸化の進んでいない食用油を回収して再生しますから、品質も信頼できるでしょうね。
投稿: OKCHAN | 2017年4月11日 (火) 11時02分