ひきこもり(3)
自分が正義だと何の疑念もなく信じる者ほど度しがたい者はない。その典型をしばしばテレビの画面に見る。都知事選のときの鳥越俊太郎氏や、民進党の蓮舫氏などはそれか。ある意味で森友学園の籠池氏もそのひとりかも知れない。自分が正義の、しかも勝者の一人だと確信していたのに、ある日突然敗者にされた自分に気がついて牙をむいた。群がるマスコミや代議士は皆正義の味方である。自分だけ敗者として断罪されてたまるか!と安倍首相とその夫人その他諸々を敗者に引きずり込もうとして必死であるが、いかんせん蟷螂の斧である。敗者と並んでにこやかにほほえむ共産党、民進党、社民党の面々は自分が正義の味方で、今回は勝者だと喜んでいるけれど、なに、敗者と並んで写っていることが彼等自身も敗者であることを歴然と示していることに気がついていない。
話が暴走した。
登校拒否児がそのままひきこもりになるケースはどれほどあるのか知らないが、少なからずあるのではないか。私がしばしばラジオで聞いていた時代からすでに三十年以上経っている。当時の登校拒否児童がまさに40歳以上のひきこもりの世代ではないのか。
子ども時代なら親がいろいろな面で優越するが、ひきこもり時代ともなれば子どもとはいえ成人になっている。親は年齢と共に衰え、体力的にかなわなくなる。その成人の子どもに親は貢ぎ続ける。
ひな鳥が成鳥になっても巣に残って巣立たないでいる。自然界の親鳥ならそんなものは放っておいてどこかへ行ってしまう。自然界なら自分で餌を得ようとしないひきこもりは生き残れないだろう。ひきこもりが人間だけの現象であることの意味は何だろう。
ひきこもりしている者には彼(彼女)なりの理由があるだろう。しかしその理由は彼(彼女)の頭の中だけでしか通用しない理由ではないか。そして多分本人は薄々そのことに気がついている。だからしばしば聞くように、親に暴力を揮う。それは自分が正義ではないことに気がついたことへの向け場のない怒りなのだろう。親が犠牲になっている。そのことを正当化するために親のせいで自分がこうなったと言うが、それは当初は言い訳のためだが、長期にわたれば確信となっている。人は自分が悪いとはなかなか認めることができない。
このような解釈をしていてその無意味さに気がついた。なぜそうなったかを解析したとしても、ひきこもりをひきこもったところから引き出す何の手助けにもならない。共倒れする親子の将来が見えたと語ったところで何の救いにもならない。すでにここまで長期にわたったひきこもり者は、多分ほとんどがこれから普通の社会生活を送ることは不可能だろう。
精神科の医師は犯罪者を精神科の対象として取り込むことに熱心である。仕事を増やして業界が栄えることを望んでいるらしい。精神科の対象は、正常な社会生活を営むことが出来ない者は精神に何か病があると考える。しからばひきこもりもまさにそうではないか。精神科に「ひきこもり病科」を設けて重症の患者を治療することにしたら良い。
精神の病に対する偏見は減ったとはいえまだ残っている。ここで窓口をさらに拡大すれば、その偏見はさらに多少減少するかも知れない。ますます繁盛でよろしい。
冗談はさておき、目的はまず親の救済である。今のままでは親子共倒れが増えることは明らかだが、それはときに事件になる可能性があり、それは社会的にまず対処すべきことである。親の人生の後期をそこまで不幸に留めておくのはあまりに可哀想ではないか。
全ては救えなくても、少なくとも社会的に貢献した親だけでも救うことを考えて良いのではないか。ひきこもりを社会的に引き受けることで親は救済され、社会はひきこもりのメカニズムについてもっと研究することが求められることになる。そこからひきこもりが起きないための方策や、ひきこもりしていた者を社会に戻す方策も治療法として確立されるかも知れないではないか。
ひきこもりがひきこもった人間の自己責任であるとか、親の責任とか言っていてはこの現象は解決しそうにもないからあえて言う。
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OKCHANさん
ひきこもりは、家族には迷惑な事ですが、
社会にでしてしまうと、
犯罪を犯してしまいます。
看護師卵の頃は、精神科の勤務でした
お薬で,少しおとなしくしてもらわないと大変なんです(-_-)
家業の牛乳屋さんの時、ピンポンして、何度なぐられたか?
ハイテクの時代、もっと大変だと思う
投稿: ちかよ | 2017年4月 3日 (月) 09時19分
ちかよ様
私は知り合いにひきこもりをかかえて苦労している人を知っているので、その大変さを多少は理解できます。
きれい事を言う人は、自分の問題として本当に考えたことがない人が多いのではないでしょうか。
認知症も精神病(特に統合失調症)も家族の苦労は似ていますね。
投稿: OKCHAN | 2017年4月 3日 (月) 11時36分