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2017年4月22日 (土)

森本哲郎「書物巡礼記」(文化出版局)

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 この本を読むのは何度目だろうか。本を読むこと、本を買うことがどれほどの人生の楽しみであるかを共感させてくれる本なのである。多読である必要などない。持っている本をすべて読む必要もない。棚にあるだけでも良いのだと励ましてくれる。とはいえ、私の人生の師である森本哲郎老師の蔵書は、この本が書かれた60歳頃にはすでに3万冊を超えていたのだから、一桁違うのである。

 25歳頃、人生に行き詰まっていた。老師の「生きがいへの旅」という本に出会った。文明論のような、そして易しい哲学書のような本だったけれど、これを読んで人生観が大きく変わった。そして生きるのが楽になった。この本でそんな経験をするような人はたぶん私だけだと思うけれど、だからこそかけがえのない本だし出会いだった。

 老師は1925年(大正14年)10月生まれで、私の母と同年で同月である。イギリスのサッチャー女史とはまったく同年同月同日生まれだそうだ。

 老師は本探しは恋人探しに似ている、と云う。だから書評で本は選ばないそうだ。恋人を他人の評価で選ぶひとはいない。そして直接本に巡り会ってこそその本に恋することができる。だから老師は古本屋巡りをする。再びの出会いを期待して待ったりせず、財布をはたいてでも自分の元へ招待するのである。

 中学生の頃から生涯与謝蕪村を読み続け、蕪村についての本もいくつか書いている。詩が苦手な私が老師のお陰でほんの少しだけ俳句の世界が覗けるようになった。その蕪村との出会いについても書かれている。それは生涯の友との思い出の話しでもある。

 老師が人生のさまざまなターニングポイントで出会い、老師を形作ったともいえる本の数々が写真で掲載されていてそれを見るだけでも楽しい。なによりこの本の装丁が素晴らしい。田島隆夫氏によるものだそうだ。左思の漢詩である。私の宝物の本の一冊。

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