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世界は魑魅魍魎で満ちている。
子どもたちが小学生の頃から、私は男手ひとつで子どもを育てることになった。彼等のために結界を張り、城壁をめぐらせた。城壁の内部は安全地帯であり、外部の魑魅魍魎から子どもたちを護る。
やがて城壁は子どもたちを護るものであると同時に、閉じこめるものでもあることに成長した子どもたちは気付いていく。
息子は城壁を見上げ、そこらのがらくたを積み上げて坂とも階段ともつかないものを作り、それをよじ登って城壁を越えていった。
娘のどん姫は物理的な行動をとらない。魔道士として空間を歪め、そこに裂け目を作りだして壁を抜けようとした。城壁は父親である私自身である。空間を歪め、破壊することは私にとってダメージであるから修復に努め、どん姫との戦いが始まった。
やがて私が白旗を揚げ、城壁に出口を設けた。彼女は傲然と胸を張って出て行った。
彼等が盆休みで帰省する。
息子は勇者となり、私の城壁を軽々とまたぎ越えて自分の居場所に腰をおろし、私に外界での冒険談を語る。
どん姫は、いまは彼女が自由に出入りする出入り口から私の世界に戻ると、居心地の良さそうなところに横になり、安心しきった猫のようにすやすやと眠る。
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