不穏
ニュースを見ていると世界が不安定化しているのを感じる。トランプなどという人物が登場してアメリカ大統領になってしまったことがこの不安定化の一つの要因か、などとも思うが、それは原因というより結果なのかも知れないと思ったりする。世界が不安定化しているからこそ彼のような本音をむき出しにして恥じない人物が大統領になれたのではないか。
さいわい日本はまだそれほど不安定化しているように見えない。日本人は他人事として世界で頻発する異常な事件を不安な気持ちで眺めているだけである。それだけ安定して平和な国だということであって有難いことである。
世界が不安定化することをチャンスととらえる人びとがいる。世界はもう袋小路にいるのだから現在の秩序は一度崩壊させた方が良いと内心で思う人たちである。そういう人たちはますます人びとの不安を煽り立て、パニックになって狂気に走る人間を送り出そうとする。変革こそ正義と思う人びとである。
これから世界の不安定化がますますエスカレートしていくのか、それともこれではいけないと人びとが気がついて再び秩序を取り戻そうとする動きに向かうのか、私には皆目分からない。過去の歴史を見れば、そのような不安の時代の結果として戦争が起こった。戦争の惨禍が人びとをパニックからようやく覚醒させて、これではいけないと思わせ安定を求めさせる。
何のことはない、現在の世界はそのくりかえしのなかのまさにある局面、つまり戦争直前の時代にいるということなのではないのか。恐ろしいことであるが、誰かがこれを止めることが出来るとも思えない。悲観的だが、自分が巻き込まれないことを願い、神に祈ることしか一個人に出来ることはないのだ。
日本のマスコミは正義のための変革を唱える人びとの尻馬に乗り、体制を不安定化させることを正義と信じてますます偏った報道を行うだろう。知らず知らず社会の不安定化をあおり、戦争へ大衆を追い込むだろう。まさに彼らが昭和の前半に行ってきたことを、いま同じ様にたどっているように見えてしまうのは私の妄想か。
民主党が政権を取る前、マスコミはこぞって自民党の非を鳴らし、国民に政権交代後の夢を見せ、国民はそれに乗った。その結果がどうなったのか。まともな記憶力のある人びとはそれを忘れていないから、再び民進党に夢を見ることがないのは幸いである。あの頃の自民党は確かにひどかった。再び自民党があの時代のお粗末な党に戻ってしまっているのかどうか。
安倍政権におごりがあり、能力に欠ける大臣をはじめ、知名度だけで人間的に問題のある議員を抱えていることは事実である。しかしこの政権の時代は、国民にとって、特に若者達にとって幸福な時代であるように見える。失業率は過去最低であり、飢えて死ぬ人間はまずいない。救いを求めれば救われるシステムはほぼ適正に機能している。
マスコミや野党は不完全な部分だけを取りあげてすべてが機能していないが如く言い立てるが、この世に完璧なシステムなど存在しない。不完全な部分をどう解消していくかを問題にするなら建設的だが、不完全をただ言い立ててシステム全体を否定する姿勢は社民党的で、社会にとって害をなすだけである。同じように見えて全く違う問題提起の仕方なのである。いま民進党が旧社会党を抱えたまま存続することで、この悪弊を脱することが出来ないまま衰退しつつある。
社会を不安定化させるかさせないかは、全否定か問題解決のための不備指摘であるかによる。共産党は本質的に革命を目指す党である。それを指摘されると必ず否定してみせるが、党是からその根本を外すことはしない。そもそもが全否定の党なのであり、それは徹底的に首尾一貫している。そのような党と共闘すること自体の是非が分からない枝野氏のような人が党首になるとしたら、民進党の命脈は尽きるだろう。
いまマスコミや野党は問題点をあら探しして、それをいい立て続けている。問題点があることを明らかにすることは良いことである。しかしそれが問題解決のためではなく、政権を否定し、システムを否定し、社会体制全体を否定することに知らず知らず向かわせようとしているのであれば大問題である。
彼らは変革を夢見る。変革にはまず社会をゆるがし、不安定化させる必要があり、それこそが正義だと確信している。せっかくの日本の安定と平和をゆるがそうとしているのは誰なのかをよくよく考える必要がありそうだ。
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