ぐだぐだしている
娘のどん姫を名古屋まで車で送って、そのついでに本屋に立ち寄り、気がついたらしこたま本を抱えていた。旅の間に読もうと思ってトランクに入れてあった本の大半は読まずに終わったというのに、また読んでない本が増えてしまった。
録画してあったドラマや映画やドキュメンタリー番組や旅番組がたまっている。これも観るのが追いつかない。家の中を男やもめ風に雑に片付けたあと、録画したものを観て、飽きると本を開いて読んでいるが、気がつくとうつらうつらしたりして、世の中を横に見ながら文字通りぐだぐだしている。
録りためた番組の中で、NHKBS-1スペシャルの「なぜ日本は焼き尽くされたのか。米軍幹部が語った真相」と言う番組は見応えがあった。太平洋戦争末期、アメリカはB-29の大編隊で日本本土各地に空襲を行った。何万トンという焼夷弾を都市部にばらまき、およそ四十万の一般市民を焼き殺した。
日本がなぜ戦争に突入したのか知りたい、というのが大学に入ってから独学で歴史を勉強しはじめた理由だが、それは子どものとき以来、母から空襲のときの話を繰り返し聞かされたことがきっかけである。母の両親と兄弟たちは千葉で空襲をうけて焼け出され、家はもちろんすべてを失った。命が助かっただけでも奇跡だったと聞かされてきた。
とにかくまず都市の周辺部にくまなく焼夷弾を投下し、逃げ惑う市民を追い立て、ついには焼き尽くし殺しつくすのが空襲という行為だ。母の友人や知人も数多く亡くなっている。ナチスの行為を非人道的だといい、そして日本の軍部を非人道的だと裁きながら、この一般市民の大量虐殺は一切不問に附されている。それが戦争というもの、勝者というものなのだ。敗者のみが裁かれる。
この空襲という一般市民の無差別大量殺戮が実行された経緯をアメリカに残されて死蔵された資料から、NHKの取材班が丹念に追求して調べ上げ、明らかにしている。これは今までにない視点からの真実を見ることになった。思うことは山ほどあるが、今はしばらく頭の中で反芻して発酵させたい気がする。
広島、長崎への原爆投下も、この空襲も戦争を早く終わらせるためだったとアメリカは言い、アメリカ人の大半はそれをその通りだと思っているだろうけれど、アメリカはこの手法を朝鮮戦争の時にも実行し、ベトナム戦争でも実行した。今度北朝鮮に同じことをしないという保証があるであろうか。
「戦争は常に正義のために行われる。だから正義というものはイヤなものである」とは山本夏彦翁の言葉だが、この番組を観ていてつくづくそう思った。
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