甘くするのに反対
テレビで漬け物の消費がどんどん減少して漬け物を作っている業者が苦戦している様子が報じられていた。そこでは取材されていた業者の目玉商品である漬け物の野菜を作る農家がどんどん高齢化していることも報じられていた。ここには農業の多様化が損なわれていること、そして老齢化が深刻であること、日本の食文化が失われつつあることが象徴的なものとして感じられた。
私は子どものときから漬け物がそれほど好きではない。父は子どものときから大好きだったらしく、食卓に漬け物がないことはなかったけれど、私がほとんど手を出さないので母に良く叱られた。
いまでも漬け物はほとんど食べない。それでもたまに白菜の浅漬けくらいは買ってきて食べるようになった。
唯一母の漬ける沢庵漬けは大好きだった。秋の終わり頃に大量の大根を買って庭で干す。それをつけ込んで暮れから正月に食べるのだが、漬かるか漬からないくらいの少々辛みの残る大根の漬け物がたまらなく美味しい。食べた切り口を舌にのせるとちょっとぴりっとする感じが忘れられない。
いまは漬け物が嫌いではない。積極的に買ってこないけれど、旅先で出される漬け物を残すことはない。ただ、甘い味付けの漬け物には閉口する。何を勘違いして甘くするのだろう。
店頭の梅干しもへたをすると甘い物の方がプレーンの梅干しよりも多いくらいだ。そういえば日本酒も甘くすることが流行ったことがあった。甘くしたことで日本酒を飲む人が減ることを加速したことは間違いがない。梅干しもますます売れなくなるだろう。
漬け物会社の販売促進のひとが漬け物の売れ行きを回復させるために、漬け物を甘くすることを模索していた。ここにもうま味と甘みの区別がつかないひとがいる。そんなことをすればますます売れ行きは減るだろう。愚かなことである。
私は辛党でもあり甘党でもある。しかし甘くない方がうま味が感じられる食べ物が必ずあって、そのうま味こそが味わいであると思うものである。甘みでうま味を代用しようなどと考えることで、日本の食文化を損なうようなことはして欲しくない。護ろうとして損なうことを哀しく感じた。ときには伝統にこだわることが必要なのであろう。
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