映画『ロストフューチャー 10,000デイズ・アフター』2014年アメリカ
監督エリック・スモール、出演ジョン・スナイダー、ピーター・ウィングフィールド他。
画質もいいし、出だしの映像も美しかったので期待した。太平洋に彗星が直撃し、千メートルを超える津波が発生して地球は壊滅的な被害を受けている。一万日後、というのはその彗星が直撃した日から数えてのことである。地球はその衝撃で軌道を外れ、太陽からどんどん離れつつあるらしい。そのために寒冷化が進み、生き残った僅かな人々は極寒の中でかろうじて暮らしている。
冒頭のシーンでは氷河のようなものが次々に崩れてその上を逃げ惑う家族が描かれる。かろうじて息子を高台に押し上げた後、父親と母親は崩れる氷に呑み込まれていく。これは全体の伏線である。
この地域では二つのグループがいがみ合って暮らしている。もともとは一つのグループだったらしいが、片方が追い出されたのだ。資源も食糧も限られている。追い出された側は恨みとともに襲撃をかけてくる。それでも互いのグループの中に恋仲のものもいる。もともと同じ仲間だったのだ。
ここで気になるのは追い出された側の人々がモンゴル系と云うか、東洋的な顔立ちのひとたちであることだ。これは人種差別映画か。彼らは好戦的で、立て籠もる側は防戦一方で平和的である。
津波を免れたこの場所は高山の山頂付近である。そこにあった天文台が立て籠もる側の拠点で、ささやかながら生きのびるための材料は残っている。しかしそれももはや底をつきかけている。すべてのひとに分けるようなものはないから、奪い合うしか道が無い。
あの氷山の崩壊の後に出来た陥没した穴に飛行機が発見される。何とエアフォースワンであった。大統領専用機である。ここに不時着していたのである。もちろん誰も生存者はいないが、当然そこにはあの核兵器のスイッチを押すためのブリーフケースが搭載されている。
そして物語は二つのグループによるそのブリーフケースの争奪戦へと展開していく。
というとそこそこおもしろそうなのであるが、残念なことにつまらない映画で、見る値打ちのない映画であった。まあそれがこのようなカルト映画のカルト映画たるところで、それなりのご都合主義の結末を迎える。
どこがつまらないのか?登場人物がバカばかりだからである。いくら何でもこれほどバカばかりではそもそも生きのびられたわけがないのであるが、何も考えないし想像力もないし人の話を聞かないバカばかりなのであるからどうしようもない。特に弱くてすぐひとを裏切る女が出てくるとうんざりする。自分が裏切ったら愛する男がどうなるのか分からないほどバカなのである。何しろ愛しているらしいが、そういうのは愛しているとはいわない。
それにしても若い二人が旅立つラストシーンは美しいが、彼らはいったいどうやってこれから暮らすのだろう。食べ物もないというのに・・・。少しは食い物でも持たせてやれよ!
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『オッペンハイマー』(2025.03.19)
- 『遠すぎた橋』(2025.03.18)
- 『マッドマックス フュリオサ』(2025.03.17)
- なかなか好かった(2025.03.16)
- ドラマ三昧(2025.03.09)
コメント