映画『バウンティ・キラー』2013年アメリカ
監督ヘンリー・セイン、出演マシュー・マースデン、クリスチャン・ピトル他。
世界は『マッド・マックス2』みたいに荒廃している。それは企業間戦争によるものだそうだ。そしてその責任を問われた企業のボスはお尋ね者とされ、賞金がかけられている。賞金稼ぎはバウンティ・キラーと呼ばれて、拍手喝采を浴びているというのがこの映画の描く近未来世界だ。
面白おかしくひとが撃ち殺され突き刺されて血しぶきが飛び散る。見ていて痛みの共感はまったく感じることがないように描かれているから、死ぬことにも意味などない世界だ。だから平気で愛の交歓の後相手をナイフで刺したりする。それでいてまったく虚無的ではないという不思議な世界だ。
こういう世界では自分自身も死ぬまでは生きているというだけのことで、そうなると生きているという意味そのものも問うだけ無駄というものだ。ゲームの世界のようなもので、それをどう楽しむかということだけの世界である。
ところがそれなりにおもしろいのだから、困ってしまう。
一匹狼のバウンティー・キラー、ドリフト、そして彼の薫陶を受けていまは彼よりも凄腕になった女バウンティ・キラー、通称メアリー・デスが大活躍する。その彼女の出自には秘密があった。
その一匹狼のドリフトが賞金首として指名される。そもそも賞金首を指定しているのは国連評議委員会なのだが、そこがそんな指定をするわけがないのである。
彼らは評議委員会を訪ねるために危険な旅に出る。そこにはとてつもない巨悪が待ち構えていて・・・。
ひとの生命の尊厳などかけらもない世界のドライさが、かえって痛快に感じられるという危ない映画だ。ああ恐ろしい。でもおもしろい。
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