映画『400デイズ』2015年アメリカ
監督マット・オスターマン、出演ブランドン・ラウス、ケイティ・ロッツ、ベン・フェルドマン、デイン・クロック他。
奇妙な映画だった。
長期の宇宙旅行の候補生四人(男三人女一人)の訓練の一環として、400日間の隔離生活が行われる。これが宇宙ではなく、地下のシェルターの中での隔離であり、そこには宇宙船と同じような施設が整えられている。操縦室や飛行中の様子がシミュレーションされ、地上との交信も宇宙にいるようにモニターされている。
ここで訓練として非常事態が突発し、それにどう訓練生たちが対処するのか試されるのである。契約では400日をしのぎきることが定められているのだが、彼らは次第に訓練とは思えないような異常現象に見舞われ出す。そしてついに外界との通信がまったくとれなくなってしまう。これは訓練なのかそれとも外部に何かあったのか。
それぞれの訓練生の精神的な変調による幻覚のような映像が続く。それぞれの人間の原点のようなものをえぐるような幻覚が生じ出すのだが、次第にそれがエスカレートして全員が同じものを見るようになり、それが幻覚なのか現実なのかわからなくなる。
閉鎖空間に長時間いるからこのような変調が起きるようでもあり、それぞれの訓練生の人格に問題があることも原因しているようでもある。そもそもどうしてこんな人たちが宇宙飛行士に選ばれているのか、そのことにも不審を感じたりする。四人は若くない。しかもその人間関係はあまり良好ともいえず、互いに協力的ではない。
映画の冒頭では、リーダーの男が訓練が始まる前に問題を起こしているところから始まっているから最初から違和感があるのだ。しかも独りだけいる女性が何か秘密を抱えているようでもあり、この訓練について彼女だけが何かを知っているようでもある。
そういう違和感が高まったところで現実と幻想が混乱しだすのである。ついには外部からの侵入者まで出現し始め、彼らを襲い出すにいたって、彼らは400日を待たずに施設を脱出することになるのだが、そこで見た外の世界はさらに異常な世界だった。
ここからはスプラッター映画になっていく。血まみれスリラー映画である。とても訓練などという代物ではないのである。世界が変わってしまっている。なにがあったのかそれを調べていくうちにグループはばらばらになり、生命の危機が迫る。
必死の逃亡の果てに彼らは再び地下の施設に戻る。外にはゾンビまがいの者たちが跳梁する。絶体絶命の中で400日目がやってくる。そこでいままでまったく通信不能だったモニター画面に訓練の責任者が登場して訓練の完了を告げる。
想像をたくましくすれば、これは精神病院に収容された患者の見た妄想か?それとも現実は既に実際に歪んでしまって魑魅魍魎に支配されているのではないか?
彼らは顔を見合わせ、訓練終了を信じることが出来ない。それは見ているこちらも同様である。それほど恐ろしいものを既に見ているのである。
さあどうする・・・・
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