衰退の兆し?
アメリカのGM(ゼネラルモーターズ)といえば世界一の自動車会社だったこともある。しかし海外の自動車会社などとの競争に負けて2009年に倒産し、アメリカの国有会社となった。つまり政府の支援で生き延びたわけだ。2013年には政府から株式を買い戻し、国有化は解消された。
そのGMの韓国での生産会社・韓国GMがこの数年ずっと赤字が続き、負債額(現在総額3兆ウオン)が膨らみ続けている。韓国の自動車会社は中国のTHAADの報復により販売不振ではあるが、外資系の韓国の自動車会社はその中で善戦している。それなのにGMは不調だと伝えられていた。
そのGMが韓国政府に支援を要請しているというニュースがひと月前くらいからたびたび報じられてきたけれど、このたび突然韓国内の四つの工場の一つである群山工場を閉鎖するとの通告がGMから韓国政府にあった。
韓国政府は閉鎖決定の前日に連絡を受けたとして「一方的な工場閉鎖の決定に深刻な遺憾の意を評する」と表明した。しかし問題は閉鎖するのが群山工場だけとは限らないことだ。場合によっては撤退もあり得るという。不採算を解消する目処が立たなければ、撤退するのはある意味で当然であるからだ。中国への拡販が見込めず、韓国を拠点にすることの利が失われていると判断すれば一本道だろう。GMは当然中国に生産拠点があるからそこへ注力することになる。
韓国には自動車の内需がアメリカや中国や日本ほどない。輸出しか拡販の道が無いのである。日本では韓国車は売れない。中国への輸出も困難で、アメリカトランプ政権は輸入車にさらに冷たくなる可能性が大きい。
そもそもはGMが破綻したのは競争力のある車を投入できなかったからだとも聞く。だから他の外資系の会社よりも韓国で苦戦していたのだろう。さらに韓国は労働組合の力が強い。韓国の自動車会社は内外問わずに生産性が低いという。さらに労働者の賃金はアメリカよりも高くなっており、労働争議によるストもしばしばあって生産に支障をきたして来た。
総合的に考えて、抜本的な対策案が見出さなければ撤退やむなしという判断は必至である。これは韓国の自動車会社も同様で、生産性の低さ、コストの高さが収益を圧迫している。それは同時に販売価格の上昇を招き、競争力の低下をもたらす。収益が上がらなければ設備投資もできないから競争力のある新車の開発も困難になる。貧すれば鈍する苛酷な世界なのである。
GMはそれを体感してきたのに打開策を見出せず、韓国政府に支援を求めた。アメリカ本国のように支援されると期待していたのだろうか。それとも工場閉鎖の口実作りだったのか。
韓国内のGMの四工場すべてが閉鎖されると30万人が職を失うと推算されている。そして残った韓国内の自動車会社がGM撤退のおこぼれにあずかる可能性はあまりない。唯一労働争議の減少や賃金の調整が期待されるくらいか。
韓国の労働争議は労働者のためという名目でありながら、今までの例から見て(造船会社の労働争議など)帰属する企業の破綻が見えていても強行するところがあるのではないか。此処からは妄言であるが、企業の破綻は正義であると内心で考える北朝鮮に使嗾されたと思うしかない人々が労働争議を主導している処が見られる。
しかもそれを強く支持するのが文在寅政権であるのだから、当然GMは支援など受けられるはずもなく、これから韓国の製造業全般は同様の試練を受けることになる。雇用が失われ、製造業が衰退することはすなわち韓国の衰退でもある。
オリンピックのあとに低迷する国の例も多い。大きな公共投資が一度打ちきられるのであるから必然的なのだが、韓国にはそれに加えての問題点があるようだ。韓国はサムスンだけで国を支えられるのだろうか。サムスンの後ろには中国の競争会社の足音が聞こえているのではないか。
これは中国や北朝鮮にとって韓国を取り込む大チャンスとうつっていると思うのは考えすぎか。
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