やりきれない
もともと銃の乱射事件が頻発しているアメリカだが、このところさらにそれがエスカレートしているように見える。乱射事件が起こるたびに銃規制が話題になるが、規制が強化されることにはつながっていない。それよりも事件のたびに、さらに銃の売れ行きが良くなるという。こういう事件は増え始めるとさらに同様の事件を誘発する傾向がある。
事件の再発を防ぐための対策をトランプ大統領が打ち出したけれど、それが再発防止につながるなどと信じる者は誰もいないだろう。自動車事故で死者が出るから自動車を規制せよとはいわない。自動車は事故の被害以上に生活に便利であるからだ。しかし銃についてはその有用性は銃に対抗するためのものでしかなく、銃がなくても社会に何も問題がないことは日本を見れば分かる。
私はアメリカの銃の乱射事件はますます増えるだろうと予見する。銃を持てば撃ってみたくなる人間が必ずいる。それが千人に一人、一万人に一人でも、そこら中で引き金に手がかかっている人間がいるということだ。
トランプという人を大統領にしたことのアメリカのほころびは、案外こんな処から拡大するかも知れない。社会不安は社会の混乱につながる。アメリカはこれをきっかけに衰退するか、すでにもう衰退に向かっているのか。
アメリカは反知性主義の国だとしばしば言われる。福音派は知性を否定するところがある。共和党は福音派に支持されている。トランプは福音派かどうか知らないが、反知性主義であることはその言動から明らかである。反知性主義というより非知性的といおうか。
これは本当かどうか分からないが、トランプが大統領になる前に「TPPには絶対反対だ。なぜならTPPは中国の陰謀だからだ!」と公言したことがあるそうだ。脇にいた人に「中国はTPPに加わっていませんよ」とたしなめられると、「えっ」と驚いたという。そんなことも知らないのである。この話は冗談ではなく、本当だと思う。
TPPの何たるかを全く知らなかったらしいという有名な話だが、一事が万事、無知であることは恐ろしいほどだという。側近は陰で「トランプはアホだ」と口を揃えて言う。アホだからこそ国を支えるために自分が頑張らなければ、と思う人だけが残り、もうやってられないという人が次々に辞めていく。たった一年でスタッフの三分の一が辞めたといい、これは歴代の大統領で群を抜いて多いそうだ。
中国はアメリカがおかしくなれば高笑いをするだろう。安倍さんもそろそろトランプと距離を置くことを考える必要があるだろうと思うが、北朝鮮が今のままならアメリカの袖にすがり続けるしかないと思っているのか。やりきれないなあ。
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